昼食
お嬢様が席に座ると同時にHRが始まる。俺は教室の後ろ側に立つ。他の護衛も同じように立っている。理由としては後ろの方が教室全体を把握できるため爆弾などを視認して即座にお嬢様を助けることができるからだ。そしてHRでは今日の授業や行事について話されていく。
「それではHRはここまでです。次の授業の準備をしてください。」
担任の教師がそう言うと全員がもくもくと授業の準備をしていく。それを俺が見ていると隣から声をかけられた。
「雪殿、次の授業はなんでしたかな?」
「次は古文ですよ。妖忌さん。」
声をかけてきたのは魂魄妖忌さん。妖夢様の祖父に当たるお方で、さらに妖夢様の護衛でもある。妖忌さんにも様付けをするべきなのだが、護衛同士で様付けなどをしていると格が下に見られお嬢様にも影響が出るため普段はさん付けをしている。
「古文ですか…」
「妖忌さんには関係ないのでは?」
「いえいえ、授業によって注意しなければいけない場所が変わるでしょう?」
「それはそうですが…」
そう、護衛は効率的に動かなければならない。そのため他のお嬢様方が見られている場所は最低限で見れていない場所を主に注意する。天井や窓の外、地面や廊下など。だが授業によって生徒の目線の動きが激しいものとそこまで動かないものがあるので注意する場所も授業によって変わってくるのだ。そんなことを俺と妖忌さんが話していると教師が入ってくる。
「では、古典の授業をはじめます。」
そして授業が進んでいく。気づくと昼休みに入っていた。
「雪、今日のお弁当は誰の手作りなのかしら?」
お嬢様は弁当のなかを見ながら尋ねてくる。
「本日の担当者は花見恋歌、忠山雷地、田中花実、・・・」
淡々と答えていく。
「以上です。」
「そう。その者たちは今後弁当を作らせないようにして。」
「理由をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「それは・・・私の嫌いな人参が入っているからよ!」
「はあ…」
「ため息をついたわね!解雇するわよ!」
「申し訳ございません。ですがその理由だけではそれは不可能かと。」
「そう。まあいいわ。人参は雪がt」
「ちゃんと食べてくださいね?」
「・・・」
お嬢様は一瞬こちらを睨んで弁当を食べていく。人参も我慢して食べていく。昼食を終えると霊夢様たちが近づいてくる。
「ねえ、レミリア。」
「なにかしら?」
「今週の土日に私たちで勉強会を開くんだけどあなたは参加しない?」
「いいわよ。構わないでしょ?雪」
「はい。ですが一応旦那様には伝えておきます。」
「わかったわ。ということよ。参加するわ」
「そう。これで参加者は6人ね。」
「誰が参加するのかしら?」
「私と魔理沙、妖夢、さとり、輝夜、レミリアの6人ね。」
「輝夜とさとりも来るのね。わかったわ。」
蓬莱山輝夜様と古明地さとり様はスカーレット家と並ぶほどの富豪の家系の方たちだ。輝夜様は運動神経はかなり低いが賢く学年順位5位以内をキープされている。(1位は毎回お嬢様だ。)さとり様も運動神経はそこまでだが心理戦が得意で嘘などには絶対に引っかからないということで有名な方だ。
「あ、もう昼休み終わるじゃない。じゃあまたね」
「ええ、またね」
「ではわたくしも後ろに戻りますね。」
「ええ、」
え、お前は昼食をとったのかって?護衛にそんな時間はない。空き時間に軽食を挟んでいるのでエネルギー面ではそこまで心配することではない。そして次の授業が始まる。