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空っぽの青空
美しすぎる野鳥は
鳴きもせずに
飛び去る
青空が
空っぽだというおまえの
愛と憂鬱は紙一重で
飛び去った野鳥を手に入れられるわけもなく
ただ、清冽な、風が吹く
もう壊れかけの夢の城に住み
その鏡に映る夜の顔もほほえんでいるのかと
確かめるように
いたずらっ子の笑みを浮かべる
なにが僕を傷つけるのだろう
どの子供達が死ぬまで傷つくのだろう?
ステーションホテルに住むものは
みんな早歩きで余裕がないと聴いたことがある
春の木漏れ日のなかを
間違えて「癒される」と思ってしまった
どこにも正しい未来はなく
太陽はただ赤々と燃え盛り
むろんそれでも生きゆくぼくたちには
手も出せない悲しみの風から互いを守り合う
一途な恋心、なんて
夢みたいな夢を
そのこころに刻み込んで。