空
空を見るのは好きですが。
堂々めぐり 何十周目だかの空を
果てがないなと 嬉しそうに笑うおまえと
高層ビルの 屋上で離着陸してる
ヘリコプターは まるでちがう場所を飛んでた
せめて 紙飛行機なら 二等辺三角形の翼
箱庭のむこうまでを フライトプランに
空は 青く 高く 遠く 広く 澄んで はるか
かたや てんで ちっぽけなおれたちの
声が届いたところで それは空耳のひとつ
せいぜい たかが 何万分の一の空を
きりがないなと もてあましてみせるおまえは
だけど アドバルーンなら 膨らませた想いこそが翼
蹴りあげた屋上に つながれてたって
空は 朱く 昏く 深く 重く 色を変える
とるに足らぬ ちっぽけなおれたちの
愚痴が響いたとしても それは空言に過ぎず
空じたいというより。
見るのは、太陽、雲、月、星。
空じたいを見るのは、色だけだったり。