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月の帰宅と涙の飲み会

僕は、氷雨がいなくなってもずっと見ていた。


動けなかった、動きたくなかった。


家にはいれば、もう氷雨はいないのだ。


あの背中を抱き締めたかった。


追いかけたかった。


綺麗事で片付けたいのは、僕自身の愛が汚くてドロドロしているものだと知りたくなかったから…。


氷雨といると、どうしても氷雨の全てが欲しくなる。それは、止められなくて制御できなくて、家に囲ってしまうか()るしか方法が浮かばなくて…。


他人には、到底理解などされない感情(きもち)だとわかる。


どれくらい、外にいただろうか


「まだ、少し寒いだろ?」声をかけられて顔をあげると月が立っていた。


「いつ、帰ってきたの?」


「今、さっき」


そう言って笑って、玄関の鍵を開けてる。


「はいる?」


「うん」


月の匂いのする部屋にはいる。


「氷雨といると氷雨を家に囲ってしまうか、()るしかないように感じてしまう。」


僕の言葉に、月は冷蔵庫からビールを渡してくれた。


「それ、すごいわかる。」


そう言って、僕を家にあげる。


月は、手を洗って皿におつまみを盛って座った。


「昔さ、栞に言われたんだよ。同じ愛は、どちらかが破滅するって骨まで食べてしまうって。芸術家だから、すごいなって思ったけどさ。流星に会って、俺はダメだと感じた。」 


僕は、月を見つめていた。月は、ビールを僕のビールにあてて飲み始めた。


「俺は、流星を胃袋におさめてしまいたいと思う化け物になってる。自分じゃ止められない。だから、流星を破滅させるよ。」


そう言った月の目から涙が流れる。


「わかるよ、その気持ち。昔、ママが言ってた一番好きな人とは一緒にいれないって醜くなるからって…。僕も月と同じ化け物になってる。」


涙が、溜まっていくのがわかる。


「こんな風に人を愛した事がないから、戸惑ってる。」


「また、ハモった。」


「すごいな、俺達双子かな」


「月といるとこんなに穏やかなのにね。」


「俺も同じ、最初は違ったけど今はすごく心地いい。」


「僕もだよ。最初は、傷つけて欲しいとかあったけど。今はないの。ただ、これから月の愛が僕には必要だから…。」


「俺も、星の愛が必要だよ。」


そう言って二人でお酒を飲む。


「一番好きな人は、月だと思ってた。」


「俺も星だと思ってたよ。」


そう言って笑った。


「違ったんだね。」


「お互い様だよ」


月が、笑う。


「紙、訂正してくれた。」


「本当だ、よかったね。2日後だよね?」


「うん。」


そう言って月は、何か考えてから


「先に言っとくけど、俺。流星の奥さんが妊娠したらおかしくなる。」


僕は、驚いて月の顔を見た。


「ごめん。おかしくなった時になんでって星に言われたら困るからさ。ハハハ」


「僕もそうなるよ。わかるもん。心が引き裂かれる。想像するだけで痛いから…。」


「そうだよな。」


月と僕は、ビールを飲んだ。


「その時は、全力で止めて欲しい」


「また、ハモったな。」


「同時だったらどうする?」


「一緒に落ちようか、どこまでもついてくよ。」


そう言って月は、僕の頭を撫でてくれた。


「傷痕残ったよね。」


頬を触る。切り上げられたと栞さんが言った表現は正しくて、一部分が赤い傷痕が残った。


「男だから、たいした事ないよ」


そう言って月は、頬を撫でてる。


綺麗な顔に傷をつけてしまった。


僕は、責任をとりたいと思ってる。


「責任とかいらないよ。俺が望んだ事だから」


そう言って笑う。


「でも、ずっと月の傍にいたい。いいかな?」


「うん。俺もいたいよ。」


そう言って、頭を撫でてくれた。


月が、穏やかに笑ってくれた。


「ねぇー、月。相手の幸せを願うのが愛なら、僕の気持ちは何なのかな?愛じゃないって事だよね。」


「わからない。歪んでるのかな?」


「わからないけど、歪んでるのだけはわかるよ。」


「俺も、それはわかるよ。」


そう言って月と笑った。


「歪んでてもいいよ。僕は、月と失敗しながら進んでいきたい」


「俺も、そうしていきたい」


そう言って、二人で笑い合った。


二人で、泣き笑ってお酒を飲んだ。





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