もう、大丈夫だよ
目が覚めた。
何か、よく眠ったな。
「ヤバ、休んだ。仕事」
栞にかけた。
「バーカ」
「ごめん。」
「流星さんといるんだろ?」
「ああ、うん。」
「だったら、いいよ。休みで、じゃあ、また来週おいで」
プープー 切れた。
起きるか、来週か…。
リビングに行くと、流星がいた。
「おはよう、よく寝れた?」
「寝れたよ」
俺は、流星に抱きついた。
「やめろよ、月」
「何してんの?」
「コーヒー豆、ひいてる」
「いれてよ。俺にも」
「うん、あのさ」
「なに?」
「筑前煮作り方教えてくれない?」
「いいよ。でも、なんで?」
「味覚が、月に会わしてくれるから」
「わかった。」
そう言って俺は、ソファーに座る。
しばらくして、流星がコーヒーを持ってやってきた。
「はい」
俺は、鞄から香水を取り出して流星に渡した。
「これ、はい」
「なに、これ?」
「俺の香水、ワインばっか飲んでたら体に悪い」
流星は、香水を嗅いで泣いてる。
「なんで泣くんだよ。」
「月の匂いがするから…。」
「よかったな。」
俺は、コーヒーを飲んだ。
「子供は、本当にもうつくらないのか?」
「ああ、もう限界だよ。俺にはもうあげれる愛がない」
そう言って流星は、コーヒーを飲んだ。
俺は、何かホッとしていた。
「月、彼と幸せになれよ」
「なんで、そんな事いうんだよ?」
「俺は、月に誰にも見て欲しくないし、月を誰にも見られて欲しくない。俺の一部にしたいとさえ思ってしまう。だから、俺は月を幸せにできない。」
流星の言葉に、驚いた。
俺が思ってる事と同じだった。
(同じ愛は、いつかどちらかを滅ぼす)
「俺も、流星と同じ事を思っているよ。だから、いれないんだな」
「ごめん。月といると歯止めがきかない。全てを飲み込んでしまいたくなる。」
「わかってる。」
俺は、コーヒーを飲んだ。
この愛は、間違った方向に進んでいく。
「でも、この先、こんな愛を抱く事はないよ。月」
そう言って流星は、俺の頬を撫でる。
「俺も、流星にしかこんな気持ちを感じない。流星、もうあの人を抱かないで欲しい。」
流星は、眉をひそめてうつむいた。
「ごめん。冗談だから。ハハハ」
「冗談?本当に?」
「本当だよ、本当、気にすんなよ」
俺は、流星に目を合わせないようにキッチンに行く。
もっとちゃんと嫌だって言えばよかったかな
どれだけ自分の愛が普通ではないのかを知りたくはなかった。
俺は、流星にあの人に触れて欲しくなかった。
「煮物作るのか?」
「ああ、婆ちゃんに教えてもらったやり方で」
「後で、レシピ書いてくれるか?」
「うん、わかった。」
俺の隣で、流星が見てる。
俺は、作り方を教えた。
「月、これ渡しとく」
流星は、紙を渡してくれた。
(検査の結果精子を確認する事が出来ませんでした。)
という文章に最後は、書き換えられていた。最初の文は、全て切り捨てられていた。
「ありがとう、流星」
「ああ、業務的な文章にしているけど」
「宇宙兄さんのよりは、全然いいよ。流星の字って綺麗だよな」
俺やっぱり流星が好きだわ。
兄弟じゃなかったら、傍にいたかもな。
やべー。こんなつもりじゃなかったのに。
泣いてるのバレないようにしなきゃな。
俺は、もらった紙を鞄にしまった。
「なに?」
「俺、月が好きだよ。兄弟って範囲越えてる。」
「流星、離せよ。」
「今日、離したら、もう二度と月にこんな風に出来ない」
「流星、俺しばらく流星には会わないよ」
「兄弟なのにか?」
俺は、流星の腕を離した。
「ちゃんと自分の気持ちを整理しないと流星には会えないよ。」
「月、わかったよ。」
「紙とペン貸して」
「はい。タクシー呼んでおくよ」
流星が電話してる間に、レシピを書いた。
戻ってきた流星に紙を渡した。
「いつか、また会ってくれるか?月」
「うん、また連絡するから。」
流星は、俺を抱き締めてくれた。
しばらく、抱き締め合った。
「何かもらっとけばよかったな。」離れた流星に言ったら、
「アクセサリーでも見に行くか?月が会えるようになったら」って笑ってくれた。
俺は、頷いて外に出た。
「さよなら、月」
「さようなら、流星兄さん」
俺は、そう言って帰る。
振り返りはしないよ。
涙が止まらないけど…。
だって、流星を愛してるから振り返るともう止められないから…。




