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氷雨と話し合い

(るい)の家を出るとずぶ濡れの氷雨がいた。

僕は、氷雨を家にあげた。


「シャワーはいらないと風邪ひくよ。」僕は、氷雨をお風呂場に連れていく。


「あの人とそうなったの?」


「湯船がいいかな?」


「あの人とそうなったの?」


氷雨は、何度も聞いてくる。


「月と僕は、そういうのじゃないから」


僕は、氷雨をシャワーに連れていった。


「後で、リビングにきて」そう言って洗面所をでた。


そうだ、これ風邪ひいた時の為に置いてあるやつあげよう。


僕は、お鍋で甘酒を暖めた。


暫くして氷雨が、戻ってきた。


「はい。」


暖めた甘酒をあげた。


「ありがとう」


目の奥が輝いていない。


「何かあった?」


「子供が欲しいと言われた。」


「結婚してるんだから、普通なんじゃないの?」


僕の言葉に氷雨は、涙を流してしまう。


「子供じゃなく、星が欲しい」


「無理だよ。それは、無理だよ」


「僕は、星に愛されていないと結婚生活がおくれない。」


「大丈夫だよ。僕は、氷雨を忘れないよ。」


そう言った僕の目を見て氷雨が、


「彼への愛で満たされてしまってる」と言った。


確かに月といるのは、幸せだ。


でも、氷雨への気持ちもちゃんとある。


今の僕には、よくわからなかった。


「どうしたらいいの?」 


「僕だけをちゃんと愛して」


「でも、会わなかったらわからないよね?」


「わかるよ。メッセージや電話でもちゃんとわかる。星が僕を愛してくれてるか」


「僕を氷雨の愛で縛りつけるつもりなの?」


「そうでもしないと、生きていけない。」


そう言って氷雨は泣いた。


泣きながら、甘酒を飲んでくれてる。


「奥さんとは、別れられないのを知った。」


「どういう事?」


「兄さんの治療費と父さんの借金を彼女の両親が、出してくれてるのを昨日母に言われた。」


「別れたいって話したの?」


「話したよ。好きな人がいるからって、そしたら母さんはだから何?って言った。結婚は、好きな人とするんじゃなくて親を幸せにする人とするものだって」


酷い話。氷雨は、泣いてる。


「だから、氷雨は私たちを幸せにする相手としたんだよ。って。今は生活費の面倒も見てもらえてるって。氷雨が別れたら、私達は不幸だって言われた。」


氷雨の涙は、止まらない。


「だから、僕に必要なのは星の愛なんだよ。一生をもう捧げるって決まったから…()げられないから。僕を少しでもいいから愛していて。」


氷雨は、僕の頬に手を当てる。


歪んだ愛から(のが)れられない運命だと気づいたのだ。


だから、氷雨の目に光が宿っていなかったのだ。


氷雨の気持ちがよくわかる。


僕は、氷雨の手を握る。


「星は、彼と幸せになってくれていいんだよ。でも、少しだけ僕に愛を向けて欲しい。」


頬に触れた親指を動かして、僕の唇を触る。


「どんなに辛くても苦しくても星に愛されていると思うだけで生きていけるから」


そう言って、泣いてる。


「だから、今日来たのはちゃんと星の愛をこの目に、この手に、この体に、この心に刻み込むためだよ。」


涙が幾重にも重なり落ちる。


こんなにも、苦しそうな顔をする氷雨を初めてみた。


「もう、後戻りはできないから。彼女と生きてく未来しかないから」


決められた人生(レール)を歩く事を決めた目をしてる。


「あんな両親でも愛情をくれた人だから」


押しつけられた愛を無下には出来ないのだ。


与えられる程に苦しんだ氷雨。


それでも、大切にしたいのがわかる。


「僕は、自分の人生を受け入れようと思ってる。でも、その為には、星の愛が必要です。」


(あふ)れだした涙を拭ってあげた。


氷雨は、僕の手を握った。


その手を自分の口に持っていく。


「愛してるよ、星。」


そう言って僕の手にキスをした。


「愛してるよ、氷雨」


僕の言葉に、氷雨は僕を引き寄せた。


ギュッーって、抱き締める。


僕も氷雨の背中に手を回した。


「キスしてくれる?」


氷雨の言葉に、僕は唇を重ねた。



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