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泣いてる顔が、綺麗

(るい)が、触れる。


泣いてる僕に近づいてきた。


後、少しで唇が触れそうだったのにビールがこぼれた。


タイミング悪い。


泣いてる顔が好きだと言ったって言ったら、怒ってくれた。


愛じゃないって…。


わかってる。


あれは、愛じゃないって(るい)が教えてくれたんだよ。



「もう、無理だよ。時雨」


「涙いっぱい溜めて、綺麗だな(ひかる)


「久しぶりに再会して、付き合ったのに、どうして?」


「ずっと、こういうの好きだったでしょ?」


「やめてよ。もう、違うよ。時雨やめて」


「求めてたじゃん、これ」


僕は、頭の中を空にしたいのに


「あの人に似て星は、綺麗ね。」


「これは、ママが僕にする事?」


「目にいっぱい涙溜めて、綺麗よ星。」


バチン、バチン、バチン


「ママ、愛してくれてるの?」


これまで思い出してしまったら、涙が止まらなくて…。


「泣いてるのか?」


俯いた僕の手に涙があたる。


「顔、あげてごらん。」


そう言われて、泣きながら顔をあげた。


「星、泣かないで。」


月の顔が、涙で滲んでる。


「泣かないで、そんな顔したらどうにかなるよ」


酔ってるんだ。


「そんな()で見られたら、どうにかなってしまうよ。」


僕の涙を優しく拭ってくれる。


「いいよ。」精一杯笑った。


ゆっくり体が、倒された。


大人なんだから、そういうのから始まったって構わないよ。


「ごめん。」僕の体を起こした。


なんで?


やめちゃうの?


「なんか、飲みすぎてるわ。これ飲んだらお開きにしよう。」


「あっ、うん。」


消化不良だよ。


まだ、進めたのに…。


「なんか、ごめん。男とか嫌だろ。普通に」


僕は、首を横にふった。


「普通じゃないだろ?だから、ダメだよ。」


普通じゃないの?


ダメなの?


「そうだね。ハハハ」


僕は、焼酎を飲み干した。


「また、明日。おやすみ」


フラフラ立ち上がった。


「危ない…」


月が、支えてくれた。


「大丈夫だよ」


顔が近い、ドキドキする。


「送る?」


期待持たせられる言い方に腹が立った。


「いらない」強く言って、フラフラの身体で外に出た。


部屋に帰ってきた。


ガチャ…鍵を開けてはいる。


机の上のスマホを見るのが、怖い。


フラフラした身体でスマホを覗く。


震えながら、メッセージを開く。


「明日、依頼入ったから」


「シカトか?」


「明日、午前中に斎藤さんが行くから、午後は、美奈子さんが行くからよろしく。金は、後日まとめて渡すから」


時雨からのメッセージに指が震えた。


明日…。


明日…。


涙が、流れてくる。


再会して、三ヶ月が経った頃、


「ほら、明日香。綺麗だって言ってただろ?」


「なんで?時雨。デートじゃなかったの?」


「俺はね、あの日傷ついたの変な奴のせいでプライドを傷つけられたの…。だから、ずっと会えるのを待っていたよ。な、氷河?」


「ああ、(もてあそ)んでぽいっだもんな。俺とそうなったのは、時雨に殴られたかったからだろ?」


目は、全く笑ってなかった。


「悪い子はね。ちゃんと罰を受けないといけないんだよ。わかる?」


「はい。」母さんに言われた言葉と同じで、気づいたら返事をしていた。


「泣いてる顔、綺麗だね。」バチン…明日香に頬を殴られた。


「明日から、しっかり働けよ」


氷河に頭を叩かれる。


「これ、お前の取り分。」時雨に三万を投げつけられた。


「じゃあ、明日お前のマンションに佐倉さんが行くから」


三人がいなくなった。


お金を拾ってポケットに突っ込んだ。


人生が、終わった気がした。


月に見られたくない。


明日、見られたくない。


聞かれたくない。


でも、やめる事は許されない。


どうしたら、いいのかわからない。


クラクラして、目を閉じた。



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