会いたい、電話
月にワインの説明をしながら、二人で飲んでいた。
ブーブー。
「スマホ鳴ってるよ!」
そう言われて画面を見て固まった。
「どうした?」
「氷雨君だ。」
「出たら?」
そう言われて僕は電話にでた。
「もしもし」
「会って、話がしたいです。」
「無理です。」
「明日、行きます。」
「無理です。」
「無理でも行きます。」
「奥さんに怒られますよ」
「彼女は、明日から三泊で出張に行きます。なので、大丈夫です。」
「どうして会う必要があるの?」
「星に愛されているのを覚えていないと結婚生活がおくれないのです。」
その言葉に胸が痛くなった。
「わかった。」気づいたらそう言って電話を切っていた。
月もまた、スマホを見て固まっていた。
「どうしたの?」
「明日、あの場所にきてほしいって」
「お兄さん?」
「うん。」
「行くの?」
「無理だって何回か送ったら、俺に愛されてるのを覚えていないと結婚生活をおくれないって返ってきた。」
「それ、僕も氷雨君に今言われたよ」
二人で顔を見合わせた。
「ちゃんと終わらせなきゃな。」
そう言って月は、メッセージを送ってた。
「中途半端だったんだよね。会ってこんな風になるって事は」
「そうだな。」
「ちゃんとケジメつけるよ。」
「俺もそうしてくるわ。」
そう言って月は、からあげを食べてる。
「お兄さんにあの紙訂正してもらったら?」
「あれか…別にいいよ。」
「ダメだよ。ちゃんと訂正してもらうべきだよ。」
「わかった、頼んでみるよ。」
月は、柔らかい笑顔で笑う。
「だいぶマシになってきたよね。震えるのとか。」
そう言いながら月の頭を撫でた。
「そうだな。星のおかげだよ」
「終わらせるなら、僕もちゃんと愛を受け取ってこようかな」
「俺も、そうしてみるよ。」
そう言いながら二人で笑った。
「世界一の理解者。」
「また、ハモった」
「ほんとだ。ハハハ」
二人で笑い合う。
心を乱される事もない穏やかな人
僕の気持ちをわかってくれる一番の理解者
月と居ると氷雨君への感情を手離す必要がない。
(一番好きな人とは、一緒にいれない。)
ママが僕に昔、言った言葉。
だから、ママは二番目に好きな僕と居るといった。
どうして?って聞いたら、一緒にいると醜くなるからって言った。
あの日、ママが出ていったのは僕が一番好きな人になったからなのだろうか?
「俺、流星に酷いこと言ったんだ。」
そう言って月がワインを飲んだ。
「なのに、何で俺の愛なんか欲しがるんだろうな?」
「そうだよね。僕もわからない。」
そう言って、ワインを飲む。
「結婚生活と俺の愛、何の関係があるんだろうな?」
「僕もそう思うんだよ。でも、結婚してないからわからないんだよね。」
「俺もそうなんだよ。兄さんのあの笑顔を生み出していたのは俺なのかな?」
「そうだよね。わからないね。」
「話をちゃんとしてみるよ。」
「僕も聞いてみる。わからないから…。」
「そうだな。」
そう言って二人でまたお酒を飲み始めた。
「ちゃんと話をすればよかった。でも、怖かったんだよね。」
「俺も同じだよ。」
「次は、ちゃんと話をするよ。誤魔化さずに全部受け止めてくるね。」
「うん。俺も受け止めてくる」
「何時って?」
「朝の九時だって」
「明日は、帰宅しないでしょ?」
「そのつもり。」
「じゃあ、帰ってきたら話そうね。」
「うん、俺も聞かせて」
そう言って月が笑った。
たった一日一緒に過ごすだけで、この気持ちがなくなるわけではない。
でも、ちゃんと向き合って過ごせば何かがかわるのだ。
これから先、また普通に会える関係を築く事だって出来るようになるかもしれないよね。
だから、ちゃんと話し合って
ちゃんと終わらせて
僕は、月と歩いていく。
月は、僕より辛いよね。
血が繋がった人だから…。
僕と月は、それから飲み明かした。




