関係ないでしょ?
氷雨の披露宴の中で流れた曲が、ループしてる。
「なぁ、あの歌って新婦が選曲したらしいよ。」
「へぇー。流行ってんの?」
「星は、遅れてんな!あれは、めちゃくちゃ流行ってる。結婚式でよく使われてる。」
「誰の曲?」
「未来の永遠の愛だよ。聞いてみる?」
「うん。」
僕は、真矢にイヤホンを耳にいれられた。今は、コードレスで便利。昔は、時雨と線で繋がったイヤホンで音楽よく聞いてた。
さっき流れてたサビだ。
♪二人は、一つに重なる愛のカタチ…誰にも盗めない強く固い絆…誓いのキスで完成した…永遠の愛…続いていく未来♪
いい曲なのか、いい曲じゃないかは別として、今の僕にこの歌詞はキツすぎるよ。
真矢にイヤホンを返した。
「二次会行かないんだろ?」
「真矢は、行くの?」
「行かないよ、スーツ着てるから美子とレストラン行くの、待ってるから行くわ!彼に会うまで泣くなよ、じゃあな」
「バイバイ」泣くなよって言われたのに、さっきの曲がリピートされて、僕達のテーブルに来た時の新婦の勝ち誇った顔とか、見送りの時に向けられた視線も、言われた言葉も苦しくて苦しくて泣いてしまった。
「ねぇ、ねぇ、キミ大丈夫?」
「えっと?」
「俺、星の方だったんだけどさ。今来たら君泣いててさ。めっちゃ綺麗じゃん。俺、そっちなわけ、わかるよな?ガキじゃないんだし。で、行こうか」腕を引っ張られた。
「嫌、結構です。」
そう言っても引っ張られる。月に電話しなきゃ、スマホ探そうとした手も掴まれた。
えっ?
「おっさん、離せよ」
「なんだよ、テメー」
氷雨君?何でいるの
「僕、この人の彼氏だから離さないと警察呼ぶよ」
「ふざけんなくそガキ。男いんならテメーも誘うな」手を振り払われて去って行った。
「その顔ダメだっていったよね」
「関係ないでしょ、戻りなよ」
「嫌だよ、僕は、ちゃんと」
「もう、話すことなんてないよ。」
視界に月を見つけた。
「彼氏待ってるから、離して」腕を振り払った。
「月」って呼んで走る。
振り返れなかったし、見れなかった。
苦しくて押し潰されそうだった。
月の元へ行った。
僕の気持ちを理解してくれる世界で一人だけの人だ。
人寄せホイホイって言い方面白かった。
僕は、氷雨に酷いことをしたから酷い拷問を受けた。
じゃあ、月はもっと酷い拷問を受けるよね。
その日は、僕がちゃんと迎えに行くよ。
星の輝きを出た。
「キラキラ、本当に美味しかった。」
「だろ?ホシボシもうまかったわ」
「でしょ、でしょ?また、ラーメン食べに行こうよ。」
「俺、一軒気になってるとこあって」
「どこ?」
「栞の家の太陽町の方にある火の太陽ラーメンってとこ。めっちゃ並んでてマジで入れないんだよ」
「行ってみたい!今度行こうよ」
「うん、約束な」
月と手を繋いでるだけで嬉しい。
月が、笑ってるだけで嬉しい。
駅前でタクシーに乗って、二人の家まで連れてきてもらった。
「星、酒飲もうか?」
「いいね。」
「明日休みだから付き合ってやるよ。」
「ヤッター」
僕の家に月をいれた。
二人で向かい合ってビールを飲む。
「泣いていいよ。」月が笑って言ってくれた顔が、氷雨と重なって見えてすぐに泣いた。
「拷問受けるより、痛かった。」
「拷問受けた事ないだろ?」
「そうだよね。ハハハ。でも、ママに殴られるより痛かったよ。本当に」そう言って泣いた。
「忘れなくていいから」
「うん。」
「あの状態だと氷雨君来たりしないか?」
「ないよ、ないない。」
「でも、来たらどうする?」
「家にいれちゃうよね。」
そう言ってビールを飲む。
「俺もちゃんと別れられたのかな?なんか、不安だよ。」
「僕も別れられた気でいたけど、会うとダメだった。」
「向こうは、よりダメだったんだよな」
「うん」
「もし、来ることがあったらちゃんと別れろよ」
「そうする」
僕は、ビールを飲み干した。
引きづることを恐れて中途半端に終わらしたのかもしれない。
ちゃんとしなくちゃ、いけなかったんだよね。




