人寄せホイホイ
俺は、月星花式場に来ていた。
確か、あの泥沼の日々に流星兄さんに招待されてたのを思い出した。
「月の教会であげるんだよ。来てよ、月。すごく綺麗なんだよ。だから、来てよ」
「無理、いらない。会いたくないから」
「あの式場は、月の同級生じゃあげる人いないよ。だから、見にこいって」
「無理、行かない。」
すごい、デカイな。こんな結婚式あげるってお金持ちだよな。
出てくる人を見つめてた。
泣いてるんだろうな、星。
あっ、発見した。横にいた人が、手を振っていた。別れたんだな。
へんな奴に声かけられてるな。
絶対、泣いてる。
俺は、星の元に歩き出した。
「ひか…」あれって、あの人だな。
って、新郎だよな?
やっぱり、すぐには離れられないよな。
俺は、声をかけるのをやめて立ち止まる。
だって、痛いぐらい星の気持ちがわかるから
俺だって、流星兄さんに会ったらそうやって話したくなる。
星は、彼の手を振りほどいた。
「月」そう言って俺に手を振って走ってきた。
彼が、悲しそうに去って行くのが見えた。
「星、よかったのか?」
「当たり前だよ、人の夫って何て言うの?人妻の逆で、人夫?」
「そんな顔で歩くから、変な奴に声かけられて彼が来るんだ。」
そう言って星を抱き締めた。
「月、こんなに辛いなんてね。」
「わかるよ。」
「彼の、奥さんにさっき言われたの、氷雨をたぶらかした悪い女は男だったのって、矢吹さんは氷雨が欲しいものは、絶対にあげられないって子供だって産めないでしょって言われたんだ。」
「うん。」
「彼女は、僕を見るとき、ずっと勝ち誇った顔をしてた。幼馴染みの真矢がいなかったら、立ち直れなかったよ。ずっと見てるのが辛くて悲しくて、拷問だったよ。」
「頑張ったよ、星。」
「なのに、追いかけてくるなんて反則だよね?僕は、一生懸命氷雨を忘れようとしてるのに…。」
「星、帰ろうか。俺が、傍にいるから…。」
そう言って手を繋いで歩く。
「泣き顔で、歩くなよ。人寄せホイホイだな。」
「なに、それ。ホイホイ?」
「そうだよ。気づいてるんだろ?その泣き顔が、ひきつけるって」
「わかってる。時雨によく言われてた。」
そう言って、星は下を向いた。
「俺も、その泣き顔にときめいた。だから、絶対にその顔で歩くな。守ってやれない時は、歩くな。わかった?」
「うん、わかった。」
「人寄せホイホイ」
「わかった。ハハハ」
そう言って星は、笑った。
「引き出物なにそれ?持つか」
「なんか、重いからグラスとかかな?」
「何で、結婚式に出席させたのかな?」
「月もご飯行くんでしょ?」
「うん。たぶん、やましいことはないアピールだろ?」
「僕もそんな感じだよ。」
「星は、バレてるじゃん。」
「ハハハ、下手くそだったかな?顔にでるから」
「かもな。ほっとけよ、変な女の事」
「変なって、愛した人の奥さんだよ?」
「当日にそんな言い方するやつは、変なやつしかいないよ。」
そう言って、俺は、笑った。
「ご飯の帰り待っといてあげようか?」
「駅前のフルールってレストランしってる?」
「布団買いに行く時に見たよ。」
「あそこで、昼飯食べる約束してる。13時から」
「お兄さんは、また病院に帰るの?」
「うん。」
「時雨と氷河に会いに行って、ロビーで待っとくよ。」
「それは、嬉しいな。」
「うん、ラーメン食べて帰らない?」
「あっ、駅前の星の輝きに行くか?」
「賛成!駅近いからね」
「あそこのキラキララーメン食べた事ある?」
「ない、いつもホシボシラーメン食べてるから」
「めっちゃ、うまいよ。食べてみ?俺は、ホシボシにしようかな」
そう言って二人でラーメンを食べに行った。
星が、笑ってるだけでいいと思える。
さっきの人の事、忘れなくていいから
泣く時は、俺の傍にいろよ。




