表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/251

さよなら、氷雨

昨日は、飲みすぎて頭が痛い。


どうやって、布団をひいたのかも覚えてないけど…。


隣で氷雨が、寝ていた。


寝顔が可愛い、でも来月には結婚しちゃうんだよね。


寝てる氷雨の頬を触る。


僕は、氷雨を愛してる。月と重なって勘違いしてる部分もあるかもしれない。


でも、僕は氷雨が好きだよ。


ちゃんと好きなんだよ。


「うーん。おはよ」


氷雨が起きた。


「おはよ」


「頭痛い…」


「飲みすぎたね、ごめんね」


「昨日の記憶が、トビトビだ。星は?」


「僕も、ほとんどない。」


「アハハ、でも楽しかったね。」


「うん。」


氷雨は、僕の髪を撫でてくれる。


「こんな風に過ごせるのも、少しだけなのが寂しい。結婚やめようかな」


「ダメだよ。相手にも、よくないよ。」


「気持ちがないのに、相手は幸せかな?」


「難しい質問だね。」


氷雨の質問に答えられない。


「僕に対する気持ちより、昨日の人が勝ってるんでしょ?」


僕は、頷けなかった。


「いいの、わかってるから。でも、僕の事も忘れずにいて」


「氷雨を忘れられるわけないよ」


「よかった。」


チュッて頬にキスをされた。


このまま、ずっと一緒にいれたらいいのに…。


でも、それはイケナイ事だから…


それから、毎日は目まぐるしく過ぎていった。


お茶碗を買いに行ったり、料理を一緒に作ったり、一緒の布団で寝たり、氷雨が仕事がはじまるとアイロンをあててあげたり、お弁当も作った。氷雨と過ごす毎日は、とても幸せで楽しかった。


ただ、一つ、時雨と氷河の目は、覚める事はなかった。


2週間後ー


「明日、帰るね。」


「寂しい」僕は、氷雨に抱きついた。


「僕も寂しい。」


「また、病院で会えるよね」


「兄さんは、まだ目が覚めてないよ。終わりじゃないよね?」


僕は、首を横にふった。


「3日後、氷雨は結婚するんだよ。」


「僕は、星を愛してるよ。」


「ありがとう。でも、僕は子供を産んではあげられない」


「そんなのいらないよ。」


僕は、氷雨の頭を撫でる。


「氷雨は、子供を授けてあげる事ができるかも知れないんだから。そんな言い方したらダメだよ。」


月が、頭に浮かんだ。


「僕は、星といたいよ。」


「僕ももっといたいよ。でも、いちゃいけないんだよ。」


「だったら、兄さんのかわりに結婚式にきてよ。」


氷雨の目から涙が(こぼ)れていく。


「わかった。行くよ」


僕は、笑っていった。


心は、泣いてるのに…。


「これから先も、いろんな星を思い出してもいい?」


「うん、構わないよ」


「愛してたよ、星」


「僕も、愛してたよ、氷雨」


僕と氷雨は、抱き締め合った。


「また、お酒は飲もうよ」


「友達として?」


「うん。これが最後」


チュッて頬にキスをされた。


これ以上は、僕も氷雨もしない。


だって、サヨナラした後が辛いから…。


これまで、毎日キスをしたしその先も…。


もう、充分だった。


もう、充分だと思うしかなかった。


神様がくれた宝物。


氷雨は、「そんな顔しちゃダメ」そう言って僕の涙をぬぐってくれた。


「もう、そんな顔しても涙は拭えないよ」


「わかってるよ。」


「変な人に連れていかれても助けてあげられないよ」


「わかってるよ。」


「抱き締めてあげられないよ」


「わかってるよ」


ちゃんとわかってるよ、氷雨。


氷雨がくれた愛情もわかってる。


冷蔵庫からビールを持ってきた。


「飲もうよ。」


「記憶なくなるまで飲んでいいの?」


「いいよ、今日ぐらい」


「わかった。」


そう言って缶を合わせた。


氷雨の指が、氷雨の唇が、氷雨の目が、氷雨の首筋が、氷雨の全てが、明日からは別の人の…


ううん。初めから別の人のものだったんだよ。


涙が(あふ)れて、止まらなかった。


僕は、ちゃんと氷雨を愛していたよ。


僕の(ここ)は、氷雨からもらった愛で満たされていたよ。


氷雨は、僕の欠けた部分をきちんと補ってくれてたんだよ。


ありがとう、氷雨


さよなら、氷雨


これからも、宜しくね。氷雨君




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ