本当に、無理なの?
ガチャ…
また、鍵開けっ放しだったみたいだな。
星かな?
俺は、体を起こした。
「返しにきた。」真子だった。
「鍵?」
「うん。」
「よかったのに、捨てても」
そう言って笑った。
「本当に、もう無理なの?」
「ごめん。」
「好きな人がいるんだね。」
「違うよ」
「あんな嘘つくぐらいだもんね」
嘘だと思われてるみたいだ。
「嘘じゃないよ。」
「じゃあ、調べてよ。証明してよ。」
「どうやって、調べんの?」
「月城病院、不妊治療で有名なの。検査して」
「わかった。」
そういうと真子が俺の隣に座った。
「結果でたら、連絡して」
「わかった。」
そう言って真子は出ていった。
月城って、宇宙兄のとこだよな。
俺は、流星にメッセージを送った。
(月城病院の不妊治療で、検査ってどうやるの?)
流星は、仕事だから終わったら連絡くるかな。
そうだよな。
言葉だけじゃダメたよな。
好きな人がいるって言った方が、よかったかな?
俺は、荷物をつめた。
目を閉じた。流星が、来るまで眠ろう。
.
.
.
.
.
ブーブー
「はい。」
「ついてるから」
「わかった。」俺は、起き上がってキャリーケースを持った。
鍵を閉めた。しばらくサヨナラだ。
そう思った。
下に降りたら、流星は車の前に立っていた。
「嫁に話したか?」
「ああ、しばらく帰れないって伝えたよ。月が、ヤバいって」
「理解してくれたか?」
「ああ、母さんが月は、精神病んでるって伝えてるから」
そう言いながら、流星はキャリーケースをトランクにいれた。
「乗れよ。」
「うん。」俺は、助手席に乗った。
「月、月城に行くのか?」
「ああ、検査ってやつ」
「納得してなかったのか?」
「うん。」
そう言って車を走らせた。
「月城に紹介状書くか?それか、宇宙兄さんに頼むか?」
「あの人何やってんの?」
「有名な産婦人科医だ。」
「まじで!俺を傷つけようとしたのに産婦人科医ってまじかよ。じゃあ、不妊治療が有名って」
「ああ、宇宙兄さんだ。」
まじかよ。
あいつに、検査されんのかよ。
「宇宙兄さんは、研究が好きだろ?顕微鏡とか使えて楽しいらしいよ。一回会った時に言ってたから…。宇宙兄さんは、誰かを助けたい気持ちはないってさ。ただ、研究が楽しいから医者でいるんだって。」
そう言って、流星はため息を吐いた。
「あいつに検査されたら、笑い者だな。俺」
「笑わせないよ。俺がついてくから」
「流星、ついてきてくれんの?」
「ああ、来週しか休みとれないけど…。宇宙兄さんに、メッセージは送っておくよ。」
「絶対、ないよな。俺の」
流星は、深く深呼吸してる。
「少しでも望みがあってほしいか?」赤信号で止まって俺の顔をみた。
「なんか、バカだけど。期待するよな、少しは…流星の子供の写真とかみたらさ。」
信号がかわって走り出す。
「父さんが連れていった人は、有名な人だから…。望みは」
ないって言われるのがわかって、流星を止めた。
「俺、あの人達に親孝行できて嬉しかったんだよ。だけど、さっき真子に会ったら何でって後悔した。」
「止められなくて、悪かった。」
「流星のせいじゃないよ。」
「橘の血を汚してるのは、宇宙兄さんだと思うけど」そう言って流星は、車を止めた。
「何度も話したけど、聞いてくれなかったな。研究の話しも」
そう言ってキャリーケースをトランクからおろした。
「証拠が全てだろ?」
「ああ、あの家では証拠だけが全てだ。」
そう言ってトランクを閉めた。
「流星も色々辛い思いしてたんだな?」
「俺なんか、対した事ないよ。」
流星は、俺のキャリーケースをひいて歩いてる。
「流星は、俺の為なら何でもしてくれるんだな。」
「当たり前だ。小さな手を握りしめて、リュリュ大好き、リュリュが必要って言ったのは月だよ。」
そう言って、柔らかい笑顔で笑った。
俺、この笑顔覚えてる。




