兄弟にもどれるかな?
俺は、流星が頬に当てる手を握っていた。
「血が出てるの気づかないなんて医者失格だな。」
流星は、立ち上がって救急箱を持ってきた。
「痛いかも知れないよ。我慢して」そう言って大きな絆創膏をゆっくりはがす。
「イッ」
「全部、はがせたから大丈夫」そう言って流星は消毒をし始める。
「昨日より酷くなってる痣になりそう。叩かれたか?」
流星の言葉に頷いた。
「何かあった?」
消毒をしてくれる。
「母さんが、俺にした事覚えてる?」
「覚えてるよ。10年前に精神を病んでるって作られたな。」
そう言って、ガーゼを貼ってくれる。
「そのせいで、俺は子供を作れないよ。」
「父さんの友達の所で、手術したんだよな。」
「流星は、色々知ってるんだな。」
「ああ、母さんと父さんに怒鳴ったからな」
そう言って流星は、救急箱をなおしにいった。
「怒鳴ってくれたの?」
「ああ、あの日の帰り道に怒鳴りつけた。なぜ、月に酷いことをしたんだって、その腹いせがこれだ」
そう言って流星は、スマホの写真を見せる。
「奥さんと子供?」
「お見合いだよ。星城病院の一人娘。母さんを怒鳴りつけた罰」
流星は、立ち上がってビールを持ってきた。
「知らなかった。」
「知ってたら、月は自分を責めるだろう」
そう言ってビールを渡してきた。
「流星は、ずっと俺を守って愛してくれてたんだね。」
「ねじ曲がった愛だったな」
そう言って流星は、ビールを飲む。
「リュリュ」
俺の言葉に流星は、俺を見た。
「優しく、大きな愛で包んであげたかった。宇宙兄さんにされてた事と同じ事はしたくなかった。」
そう言って俺の頬に手を当てる。
「ちゃんと、愛してあげたかった。」
「宇宙兄さんに何をされたの?流星」
そう言った俺の前で、流星はズボンを脱いだ。
「これ」
太ももに沢山の傷や火傷の痕が残ってる。
「なに、これ?」
「研究だよ。」
「研究?」
「うん。」
そう言って、流星はソファーに座る。
「宇宙兄さんは、はじめ火傷がどんな風に綺麗になっていくかを知りたがった。俺が、3歳の頃俺の太ももにカップラーメンにいれるつもりだったお湯を直接俺にかけた。宇宙兄さんは、7歳だった。そして、火傷した俺を父さんに見せた。自分が悪いと泣いて謝った。献身的に看病をしたよ。宇宙兄さんにとってはただの研究だった。」
そう言って流星は、火傷の痕をなぞっている。
「一年後、興味をもったのは、刃物でつけた傷がどのような経過をたどってふさがるかだった。果物を切ろうとして手が滑ったと父さんに話した。また、泣いて献身的な看病をしてくれた。」
そう言って流星は、刃物の傷をなぞってる。
「それから、切り傷にとても興味を持ってありとあらゆる刃物で傷をつくっては献身的な看病をする。それを月にもしようとしたから、俺は怒った。」
そう言って流星は、脇腹から背中にかけての傷痕をみせた。
「宇宙兄さんが、月のプニプニとした柔らかい肌に興味をもった。俺は、刃物を振り上げた宇宙兄さんから月を庇った。やめてー。月は、俺の大切な弟なんだーって。振り下ろされた痛みより、月に1ミリも傷がつかなかった事が嬉しかった。」
「それが、この傷?」
流星は、頷いた。
「暫くして、父さんが俺を助けた。流星は、悪い子だから宇宙を怒らせたって言った。宇宙兄さんは、俺の月に対する気持ちを知って二度と月には近づかなくなったよ。だけど、俺への研究はやめなかった。」
そう言って流星は、ズボンをはいた。
「そんな宇宙兄さんが、今じゃ院長だよ。あっちは、恋愛結婚。子供に研究してなきゃいいけどな」
「会ってないの?」
「皆で正月には、会うけど。宇宙兄さんは、一度もきてない。」
「流星、俺達兄弟にもどれる?」
「わからない。今は、無理だ。この気持ちが何かわからないから」
俺は、流星を抱き締めていた。




