星は、可愛いね。
僕は、コーヒーを受け取ってしばらく泣いていた。
チュッ…えっ、なに?
「なに?」
「綺麗な顔だなって思って」
「いや、いや、綺麗な顔の人見たら氷雨君はキスするの?」
「違いますよ。」
「来月結婚するんだよね。」
「そうですよ。」
「ダメだよね、これ」
「涙、止まりましたよ。」
あっ、ほんとだ。止まってる。
「兄さんのかわりになりませんか?」そう言って頬を撫でられる。
「あの、時雨に会ってくるから」立ち上がった僕の腕を掴んだ。
「僕を避けようとしてます?」
「いや、本当。何を言ってるのかな?氷雨君は」
「何って、告白してるんですよ」
「こ、こ、告白って何で僕に」
「さあ、何ででしょうね?」
「ごめん、時雨に会いに行くよ」
「あの、じゃあ今日一日飲みにだけ付き合ってもらえませんか?」
それぐらいなら、いいかな?
「わかった。」
「よかった。」氷雨君は、笑った。
僕は、時雨に会いに行く。
氷河のお母さんが、入れ違いで出てきた。
「また、明日」ってお辞儀をした。
「はい。」僕は、時雨のベッドの隣の椅子に腰をかけた。
「時雨、目覚ましてよ。」僕は、時雨の手を掴んだ。
時雨、時雨の弟なんなの?変だよ。僕が、飢えた獣に見えてるみたい。どうしよう…時雨、目を覚ましてよ。
時雨は、起きる気配はない。
「時雨、またくるね。」僕は、氷河のベッドの横に座った。
「氷河、目を覚ましてよ。」
そう言って氷河の手をとった。
ごめんね、僕のせいで…涙が止まらなかった。
「氷河、またくるね。」僕は、そう言って部屋を出た。
「僕も兄さんに会ってきます。後で」
「ちょっと、トイレに行ってくるよ。」
僕は、トイレにいった。最悪だ。
時雨の弟をどう拒否すればいいんだろうか?鏡の前に立ってた。
「月に慰めて欲しかったか?」
「あっ、月のお兄さん。」
「あんなガキにされたくなかったか?」僕の頬を撫でてきた。
この人は、本当に綺麗だ。月とは違って、切れ長の目がそうさせてるのだ。
「何の事ですか?」僕は、手を洗う。
「何でもいいけど、君が月を欲しがってるのはわかるよ。でも、月を渡すつもりはないよ。」
「渡すも渡さないも兄弟ですよね。」
「どうだろな?じゃあ」そう言ってトイレを出ていった。
月とは違うけど…月と少し似ている部分と昨日月から漂っていた香りもあって心臓のドキドキが収まらないまま氷雨君の元にきていた。
「行きましょうか?」
「うん。そうだね」
「顔、赤いですよ」
「いや、大丈夫」
「この近くに、個室の居酒屋さんがあるんですよ。美味しいんです。」そう言って手を繋いできた。
「えっと、手があったら繋ぐ感じなのかな?」
「いえ、繋ぎたいからです。」
どういう意味?時雨の弟だから無下にできない。
歩いて居酒屋にやってきた。
さっきの月のお兄さんのせいか、氷雨君のせいか、ずっと心臓が早い。
二人で、お酒を飲む。
ドキドキを隠すためにお酒を飲む。
「ちゃんと食べなきゃ、酔いがまわるよ。」口に唐揚げをいれてきた。
ヤバイ、時雨に見えてきた。
「可愛いね。星」
ドキンって、胸が鳴った。
ダメダメ。時雨じゃない。
この子は、氷雨君。
頭がクラクラする。空きっ腹で飲み過ぎたかな。
「はい、どうぞ。アーン」
「アーン」いや、何してんの僕。
「星は、可愛いね。」頭を撫でられる。
「呼び捨てって」
「氷雨でいいよ、それとも時雨にしとく?」チュッ、頬にキスをされた。
「だーから、氷雨きゅんはけつ婚するんだーから。ダメでし」変な言葉になってる。頭の中だけやけに冷静だ。
「フフフ、可愛いね、すごく可愛い」もうクラクラしてダメだ。
僕は、寝てしまったんだと思う。
頭が、痛い。
痛くて堪らなくて目が覚めた。
キラキラした天井だな。
隣にひ、ひ、ひ、氷雨君が寝てるんですけどー。
えーと、えーと、えーと




