帰ろうか?
どれだけ待ったのかな。
「ごめん。遅くなって」
月がやってきた。
何か、雰囲気がかわった気がする。
「まだ、意識もどってない。」
「そっか。」何か上の空だね。
「ここにいても仕方ないから」
「帰ろうか」
「うん。」
僕は、月の手を掴んだ。
「ごめん。」するって離された。
「何かあった?」
「ううん。別に」
そう言って目も合わせてくれない。
「月のお兄さん、綺麗な顔してたね。」
その言葉に、鋭い眼差しで睨み付けられた。
「ごめん。」
「いや、俺がごめん。兄貴は綺麗な顔してるよ。本当」
「う、うん。」
月が、怖く感じる。
一緒にタクシーに乗った。
「月、何かあった?」
「あっ、ううん。ごめんなんか」
そう言ってボッーとしてる。
僕は、月に触れたいのに…。
「ついたよ。」
「ちょっとだけ、話せない?」
「あっ、うん。」
そう言って月は、降りてきてくれた。
さっきから、月の匂いが違う。
薬品の匂いが、少し混ざってる。
お兄さんと何かあったのかな?
ガチャ…。鍵を開けて家にいれた
「何、飲む?」
「お酒飲みたい」
「うん。ビール」
「キツイのない?」
「あるよ、ウォッカ。僕は、無理だったけど、飲む人がくれたからいる?」
「ああ、うん。」
そう言ってあげた。
「キツくない」
「キツいよ。」
月は、やっぱり何かあったんだ。
「僕には、話せないよね。」
「ごめん、嫌われたくない。」
「嫌いになんかならないよ。」
「ごめん、多分なるよ。」
そう言った僕の顔を見て、お酒を飲む。
「頬、大丈夫?」
「ああ、大丈夫。」
「手当てしてもらったの?さっきと違うから」
「そうだね。兄さんがしてくれた」
目を、伏せる。
お兄さんと何かあったか聞きたいけど、聞けない。
聞くのが怖くて堪らない。
「いつか、話してくれる?」
「ああ、いつか話せたら」
そう言って、またボッーとする。
僕は、お酒を持つ月の手を握った。
「ごめん。少しだけこうしたい」僕の方をチラッて見て頷いた。
「ごめん。星が辛いのにボッーとして。」
「ううん。」少しだけ月に戻った。
「明日、彼女に話すんだよね?」
「うん、もちろんだよ。」
「そしたら、僕達」
「時雨さんと氷河さんが、戻るまではやめておこう。」
「そんな、何で?」
【自分の何もかもを犠牲にしてしまう人間】
栞さんが言った言葉が頭に響く。
「わかった。そうしよう」僕は、これ以上月を苦しめたくない。
月は、少し目を伏せてから僕に笑った。
「ごめんね。」
「ううん。」
「我儘だけど、僕を抱き締めてくれない?」
月は、ビックリした顔をしたけど…。
「いいよ」って笑って抱き締めてくれた。
やっぱり薬品と香水が混ざり合った匂いがする。
ただ、抱き締め合っただけでこうなるだろうか?
もしかして…。
僕は、月を抱き締めた。
きっと、苦しめてしまう。
だけど、ごめんね。
「…………たの?」
月は、「えっ?」って言って僕から離れた。
「ごめん、月。」
「だとしたら、嫌になるよな?」
「ならないよ。」
「わからなくなった。俺は、ずっと愛されてないっと思ってたから」
そう言って月は、泣いてる。
「あの人に、聞きたい事があるし、やってもらいたい事もある。だから、星には悪いけど。俺は、あの人にこれからも会うよ。」
「僕もわかるよ。だから、止めはしないよ。月がいつか僕を見てくれるまで待ってるから」
「ごめん。」
「謝らないでよ。ちゃんと聞きなよ。」
そう言って僕は、月の頭を撫でた。
「いつか、言いたくなったら話して欲しい。」
「うん……わかった。」
「今日は、帰るんでしょ?栞さんの所」
「うん。タクシー呼ぶよ」そう言って月は、電話した。
今日、月が帰ったら明日の月といれるかわからない。
でも、月には考えがある。
それを僕が、邪魔するわけにはいかない。
「じゃあ、行くね」そう言って月は立ち上がった。
「また、連絡して」
「うん。」
「月、少しだけ」僕は、月に抱きついた。
「じゃあ」月が、タクシーに乗るまで見ていた。
部屋に入って涙が止まらなかった。
月と一緒にいたいだけなのに…
何で、こんな事になるのかな




