やっぱり、大切な友達
ずるずる引きずられても構わないかなって思ったけど、栞がやめた。
「月、これ以上はダメ」
「いいの?」
「いい。」
「だけど…。」
「全部言わないで。」シーって口に手を当てられた。
10年前ー
成人式の後、みんな星の森高校に集まっていた。
「月、帰ろう」
酔っ払った栞と並んで歩く。
「私、月が好きだよ。」久しぶりの再会に栞が言った。
「好きで好きで堪らないの。もう、気持ちが溢れて止まらないの」
「どうしたら、楽にしてあげられる?」
バチン…俺の言葉に栞が頬を殴った。
「同じ気持ちじゃないのに酷いよ。」
「ごめん。」
「月と私の愛は同じ。同じ愛は、いつかどちらかを滅ぼす。だから、忘れて今の話」
そう言って夜の闇に消えていった。
自分を犠牲にしてでも誰かを愛する俺と栞の愛は、どちらかが、滅びる日を待ってるんだ。
「月、命さえも犠牲にするのだけはやめてね。」
栞は、俺の胸に顔を埋めながら言う。
「栞も同じだろ。」
「前に話したよな、同じ愛はどちらかを滅ぼすって」
「うん。12年前、月が、恋をした時からわかってたよ。僕と月の愛は同じだって、自分を犠牲にしてでも相手に尽くす。綺麗に感じるけど違う。誰かを食べ尽くすまでそれは終わらない。だから、同じじゃいけないって…。かわらなきゃって思えば思うほど、重なり合うのを感じた。」
「俺、歪んでるよな。今も昔も」
「そんな事ないよ。星さんに会ってからは、少しだけ歪みがとれた気がする。犠牲になりたいけど生きたいが生まれた。僕も麻美に出会って、そうなれたから。」
そう言って栞は、笑った。
「もう、朝だな。ハハハ」
「何時間、あんなのしてたんだろうね。」
「そうだな。栞の気持ちが晴れたならいいよ。」
「やっぱり、僕は月にとっての大切な友達でいたいから…。もうしないよ。」
「俺は、よかったけど」
「ばっかじゃないの!一度そうなったら、骨まで食べ尽くすよ。ハハハ」
「なんか、寒気がした。」
「でも、それぐらい僕と月は終わらないのわかるでしょ?」
「うん、わかるよ。」
「だから、これでよかったんだよ。いったん寝るね」そう言って栞は、寝に行ってしまった。
俺も部屋に戻って横になる。栞が、星に何かを話した。
会った時に聞くかな。
俺は、ゆっくり目を閉じた。
.
.
.
.
.
「ねぇー、ちょっときて」栞の声で、目を覚ました。
「うーん。寝すぎだよな」俺は、扉を開けた。
「10時」
「夜の?」
「うん。」
そう言ってリビングにやってきた。
リビングでは、珍しくNEWSをつけている。
「新しくNEWS見ようと思ったの?」
「違う、麻美が見ろってかけてきたから」
「パジャマぼさぼさ、胸見えてるぞ」
「ああ、ごめん。月は、興奮しないからいいかなって。ハハハ」
「俺も、一応男だから」
「なんもなってないから、いいじゃん。」
「さわんなよ。」
「ハハハ。」笑いながらボタン閉めてキッチンから水持って帰ってきた。
「はい」
「ありがとう。」
cmになってるテレビを見つめてる。
「何のNEWS?」
「やるのかな?」
そう言いながら、栞は水を飲んでる。
「始まった。NEWSを見る」
俺も水を飲んだ。
「ローカルNEWSじゃない?」
「そうだね。」
この辺りのNEWSを読んでくれるTVだ。
「本日、夜の9時半頃、月の星公園で男女が喧嘩をしていると通報がありました。」
あの公園か…。
「駆けつけた警察官によりますと男女三名が腹部を刺されて倒れていました。その場で刃物を持っていた女性が逮捕されました。」
「女性の名前は、金田明日香 年齢は」
えっ?俺は、栞と顔を見合わせた。
「搬送先の病院で死亡が確認されたのは、荻野愛理さん年齢は」
「刺された男二人は、今もまだ意識不明な状態です。」
NEWSが終わった。
「あそこからだと、星城病院に運ばれてない?」
栞に言われてハッとする。
「行ってみようかな?」
「知ってる人が刺された気がする?」
「うん。」俺は、頷いてスマホを取り出した。
電話をかける。




