いなくならないよ
俺は、誰かに抱き締められてる感覚て目を開けた。
「栞、何してんの?」
泣きながら栞が、俺を抱き締めていた。
「ごめん。」
「麻ちゃんは?」
「さっき帰った。」
「まだ、ちゃんと住んでなかったの?」
「うん。片付けしに帰るって、さっきの僕の言葉で落ち込んでるから今日は戻ってこないかも」
「そっか」俺は、起き上がった。
その瞬間、栞が抱きついた。
「どうした?」
「月が、いなくなるのが怖かった。」って言って泣いてる。
「いなくならないよ。」
「なろうとしてた。」
「ごめん。でも、星を幸せにするにはそれしかないかなって思って」そう言った俺の唇に唇を重ねてきた。
「何、いきなり」
「僕は、人として月が大好きだよ。だから、失いたくない。」
「キス関係ある?」
「あるよ、怖いんだよ。月が生きてるってちゃんと感じたいんだよ。」
そう言って泣く。
「ごめん、気づいてなくて。ちゃんと生きてるよ。」
俺は、栞の頬に手を当てて涙を拭った。
栞は、その手を掴んでる。
「大丈夫だから」
俺は、笑っていう。
栞は、また俺に抱きついた。
「自分の命まで犠牲にしないで」
そう耳元で言って泣いてる。
「そんな愛は、捨ててよ。」
「何で、そんなこというの?」
「僕は、月に生きていて欲しいんだよ。月がいないと生きていけないんだよ。」
栞が泣いてる。
栞が、こんなにも傷ついてる事に俺は、気づけていなかった。
「ごめん、大丈夫だから」
俺は、栞を抱き締めた。
「僕は、月とそうなっていいってずっと思ってたよ。」
栞は、おでこをくっつけて話す。
「それは、高校での話だろ?」
「違うよ。ずっとだよ。真子ちゃんと付き合ってるって言われた時、何で僕じゃないのって思った。」
そう言って泣いてる。
「ごめん。俺、栞を」
「そんな風に見れないのは、知ってるよ。それは、あの日僕があれを見たからでしょ?」
「そうだな。」
そうだった。
俺は、あの日栞にあれを見られてから栞を拒絶してる。
「流星さんに会いたくなかったのは、それだよね?」
「ああ、そうだったな。」
何かあると捌け口に使われてた。
思い出したくない。
「あれが、初めてだったか」
両親に捨てられる前の日
「それから、ずっと僕を拒絶してる。あの日からずっと」
だって、俺も栞を好きだったんだよ。あの日までは…。
「だったら、もういっその事、僕でよかったよね?」
俺は、首を横にふった。
「なんで、ダメだったの?僕と月は同じだよ。異性を幸せに出来ない。望むものは、与えられない」
栞の目から、涙がスッーって流れた。
「麻ちゃんがいるだろ?」
「わかってるよ、わかってる。でも、さっきみたいなのは耐えられないんだ。耐えられなくて、辛くて、堪らないんだ。」
「栞」
「軽蔑しろよ。星さんに電話して、何もかも話したよ。僕を殴ってよ。月がされてたみたいにしていいんだよ。」
「しないよ。俺は、しないよ。」
栞が、泣いてる。苦しんでいる。
「どうやったら、楽にしてあげられる?」俺は、栞に聞いた。
「なんで、今。あの日みたいな言葉言うの?」
「ごめん。」
「そんな言葉言われたら、月を好きな気持ちが溢れだしてくるじゃないか」
「ごめん。」
俺、10年前と変わらず酷いやつだな。
「責任とってよ。あの日の責任」
「わかった、とるよ。でも、麻ちゃんに悪い気がする。」
「今更?麻美は、全部知ってるよ。僕がどれだけ月を愛してたかも。さっきそれに気づいて出ていった。だって、僕が月の為に命を投げ出そうとしたのに気づいてたから」
栞の言葉に驚いた。あの日、栞が言った言葉を思い出した。
「同じ愛は、いつかどちらかが滅びる。」
ごめん、栞。
栞が、俺の唇に唇を重ねる。
もう、受け止めてあげる事しか出来ない。
だって、こんな風にしたのは俺なんだから…
ごめん。




