話し合い
俺は、星がくれたお茶を飲む。
「あんたは、生ぬるい愛を星に教えたんだな」
彼の言葉に俺は、顔をあげた。
「生ぬるい?どういう意味かわならないけど、星を好きな気持ちは事実だよ。」
そう言って時雨って奴は、煙草に火をつけた。
「星がどんな事して、金稼いでるか知ってるの?」
俺は、その言葉にお茶を飲んだ。
「どんな仕事してても、別に気にならないよ。」
「へー。すごいな。」そう言って時雨って奴は煙草の煙を吐いた。
「俺、あんたに星を渡すつもりないから」
「選ぶのは、星だから。俺が選ばれないなら仕方ないよ。」
そう言ってお茶を飲む。
「そんなんで、諦めれんの?」
「諦めるつもりはないよ。選ばれないなら仕方ないってだけで…。俺がどんな気持ちを持っていても星には関係ないって事」
俺の言葉に、頭をかいた。
「そんな風に思えるってすごいな。」
涙を流し始めた。
「時雨、どうしたの?」
星の言葉に泣いてる。
「俺は、星をどんな事をしても手にいれたい。あんたみたいに思ってるのは無理。」
「歪んでるね。そっちもそうとう」
俺の言葉に俺を見る。
「愛情ってなに?優しくすればいいの?俺は、親に一度も優しくされた事ないよ。」
「さっきの風呂もそういう事?」
「そうだよ。嘘をついたらいれられた。弟と喧嘩したらいれられた。いっその事、あの時死ねたらよかったんだよ。」
その言葉に、星は彼の手を握る。
「だから、星にも死んで欲しかったのか?」
「だって、俺のものにならないなら死んで欲しいじゃん。親にも思ったよ。弟だけが好きだったから…。だったら、死ねよって思った。俺を好きになってくれないならいらないって思ったから」
そう言って、泣いてる。
「俺にもわかるよ。親は、兄貴しか好きじゃなかったから…。でも、好きな人に同じことするのは違うと思うよ。」
俺の事を見る。
また、煙草に火をつける。
「俺は、仕事の事とかよくわからないけど…二人で話し合いした方がいいんじゃないかな?」
「そんな話し合いしたら、星を傷つけるよ。俺だけじゃ終わらせられない話だから…。」
そう言った言葉に星が、
「どんな事でも受け入れるよ。それで、辞めれるならいいよ」って笑った。
「一人でやってるわけじゃないのか?仕事」
「あぁ、そいつ等に了承もらわないと無理だ。」
「そうか。」
そう言った俺を見て言う。
「星が、かわった理由がわかったよ。歪んでるんだな俺の愛。」
そう言ってまた煙草に火をつける。
「知らなかったわ。自分の愛が間違ってるなんて」
煙草の煙を吐く。
「気づかないまま、生きていくのが普通だよ。」
俺の言葉に、フッて笑って
「その方が、幸せだもんな。自分は」って笑ってる。
確かにそうだ。
歪んでるのに気づかなかったら自分は幸せだった。
気づいたらもういれないんだよ。
そして、苦しいんだよ。
彼も苦しそうな顔をしてる。
「こんな想いして、あんたは受け入れたの?自分がそんな人間だって?」
「そうだね。時間はかかったけど、受け入れたよ。」
「ハハハ、だから、星を動かせたんだな。」
彼は、眉間に皺を寄せてる。
俺は、反射的に
「時雨は、悪くないよ。時雨は、いい子だよ」って言いながら何度も頭を撫でた。
彼は、俺の手を振り払わなかった
「あんたは、優しいね。」
そう言って笑う。
「俺は、誰も幸せに出来ないんだよ。俺、今彼女がいる。これから先、彼女が欲しいものを俺は何一つあげれない。だから、星をって思った?」
彼は、首を横にふる。
俺は、彼の頭を撫でてる手をどけた。
「俺、子供を作れないの。そういう手術を受けたから…。でも、それでよかったんだよ。橘の血を汚さなくてすんだから」
「なんだ、それ?」彼は、俺の言葉に驚いた顔をしてる。
「ハハ、笑っちゃうよね。好きな人を幸せに出来ないってわかって初めて自分がした事がどれだけ罪深い事かを知ったよ。でもね、俺、後悔してないんだよ。初めて親孝行できて嬉しかったから。歪んでるんだよ。俺の愛も…。だから、俺は誰も幸せに出来ないんだよ。」
そう言って笑った俺を見て、彼は立ち上がる。
「ちょっと電話してくる」と出て行ってしまった。
「重すぎたかな?」
「ううん」
星は、一生懸命首をふってくれた。




