お願いします。
時雨は、僕を見つめてる。
「飲みながら話そう」
「いや、飲んだら忘れない?」
「うるせー。」
机を叩く音にビックリした。
「わかった。」僕は、ビールを時雨に渡した。
「生ぬるい愛情が、欲しくなったのか?」
「生ぬるいじゃなくて、普通の愛なんだよ。」
「刺激的なのがいいって言ってたじゃないか?」
「それは、高校生の頃の話だよ。時雨が、僕をいらないって言ったんだよ。」
ダンッ、机を叩いた。
「お前が、俺を拒絶したんだよ。最初に…。」
「違うよ。時雨が、僕をふったんだよ」
バチン……痛い。
「お前が、あいつに助けられてから俺を拒絶したんだよ。忘れたのか、星」
胸ぐらを掴まれてる。
「明日香じゃなくて、僕と居たかったの?」
「当たり前だろ。俺は、お前を愛してる。今も変わらず」
そう言って唇を重ねられた。
【星、愛って退屈なんだよ。】
月の声が、頭に響く。
時雨の愛は、歪んでるよ。
唇を離した。
「お前、またあいつに会ったのか?」
「えっ?」
「月の星公園でお前を助けたやつだよ。」
「なんで?」
「あの頃みたいに俺を見てる」
「そんな事ない」
バシン…頬をぶたれた。
「星、俺のものだった頃に戻れよ。そしたら、今日にでも辞めさせてやるからよ。」
僕は、首を横にふってた。
胸ぐらを掴まれて、立たされた。
ドカッ…お腹を蹴りあげられる。
「ゥッ」変なとこにはいった。
「星、何でわかんないの?」
ドカッ…また、お腹を蹴られた。
痛いよ、時雨。やめてよ。
「いつ会ったあいつに」髪の毛を引っ張られて顔をあげさせる。
「知らないよ。何の話?」
ドカッ…また、お腹を蹴られた。
「嘘つくな。いつ会ったって聞いてるんだ。」
「会ってないよ。名前も顔も知らない人だよ。」
「嘘つくな」
なぜか腕を後ろに組まされた。
縄をギリギリ巻いていく。
持ち歩いてるの?
「お仕置きだ。」
そう言って、僕を引っ張ってお風呂場に連れてきた。
何するの?
怖いよ。
「いつ会ったって聞いてる。」
「会ってないよ。」
バチンって頬をぶたれた。
ここで殴られるって事なの?
違う。
浴槽に水を張り出した。
何するの?
「今からされることわかる?」
僕は、首をふった。
「俺が、嘘ついたらやられてた事だよ。」
「僕を殺すの?」
「殺さないよ。縄で縛られたまま、氷の風呂にいれられてたんだ。」
僕の目に涙が溜まっていく。
やっぱり、時雨も僕と同じなんだ。
あの頃は、知らなかった。
「綺麗な顔だな。大丈夫、まだ暖かいから」
「これが、時雨の愛?」
「さあな。愛かどうかなんて知らないよ。ただ、俺は星が嘘をつくからやるだけ。いっそのこと、蒲郡と江藤のどちらかに星を殺してもらえばよかったかな?」
蒲郡………あいつだ。
氷河の話を聞いていなかった時のヤバイ奴。
「どうして」
「酷いか?酷いのは、星だよ。俺のものにならないならいなくなってよ。」
そう言って、お風呂場を出ていった。
どこ行ったの?
とにかく、スマホ取らないと…。
僕は、救急箱を取った時に、ポケットに入れたスマホを頑張って取り出すように足を動かす。
なかなか、うまくいかない。
でも、真矢にかけなきゃ。
助けてもらわなきゃ。
頑張っても、無理だ。
もう、諦めよう。
ロックもカバーもはずしていたスマホは、さっきの動きでどこかに電話をしていた。
僕は、それに気づかなかった。
「ただいま。」
「すごい量だね。」
「買ってきたから」
浴槽に氷をどんどん時雨がいれていく。
まだ、暖かいけどこんなに氷をいれられたら凍える。
いったん縄をほどかれた。
逃げれない、僕は時雨に力では敵わない。
「服、脱がなきゃな」
そう言って、全裸にさせられた。
「後ろ向け」
後ろを向かされて、また手を縄で縛る。
時雨が、買ってきた氷は浴槽に全部いれられた。
「はいれ」そう言われてはいる。
体が寒い。
「時雨、冷たいよ」
「黙れ。肩までつからなきゃ」
すぐに震えてくる。
「あいつにいつ会ったか言え」
「知らない。」
「言わないつもり?」
「わからないんだよ」
時雨は、笑った。
「じゃあ、話したくなったら話せよ。」そう言って、二台あるスマホの一台を置いた。
「どうやってかけるの?」
「口があるだろ?」
「時雨は、どこにいくの?」
「帰るんだよ。」
そう言って時雨が、出ていった。
「待って、時雨。寒いよ、時雨」
カタカタ震える。
真矢にかけよう。
口でかけれるかも知れない。




