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未来が欲しい

(るい)に、未来が欲しいと言われて嬉しかった。


隣に寝転がった僕を、月が抱き締めてくれた。


この匂い、落ち着く。


月が、僕にくれる愛の匂いがする。


僕は、過去にこだわりすぎていたんだと思う。


(けが)れてない、あの頃…


スケッチブックに描かれたあの頃に戻れたらいいと思った。


時雨に生ぬるい愛って言われた時、僕は時雨や氷河と求める愛が違った事に気づいた。


ずっと、歪んでいたんだ。


「一週間会えないの寂しい?」月が、僕に聞く。


「寂しいに決まってるよ。」


「ハハ、すごい嬉しい」


ギュッーって強く抱き締めてくれた。


「嬉しい、嬉しい。」


僕も嬉しくて抱き締め返す。


「可愛いな、星は」


「こんなに、誰かを欲しいと思った事はないよ。」


「それは、純粋にって事?」


「うん。ただ、欲しいって思ってる。」


「ありがとう。」


月が、笑ってる。


「触れてるだけで、俺すごく幸せだよ。」


「僕も幸せだよ。」


「さっき、星に触れたらもっと幸せだった。」


「僕もだよ。」


「同じで、嬉しい。」


また、ギュッーってしてくれる。


「誰も幸せに出来ないって思ってた。」


「出来るよ、月なら」


月は、僕におでこをくっつけて話し出す。


「真子、今の彼女な。出会ったのは、25歳の時だった。最低って女に叩かれて。それから付き合い出した。」


「うん。」


「最初から、望みは叶えてあげられないから付き合っちゃダメだったんだけど…。あの日、自分が真子に救われたから付き合っちゃたんだ。」


「うん。」


「真子の親友の美海(みなみ)ちゃんが、二年前に授かり婚をしたんだ。」


「うん。」


「それから、真子は結婚を強く望み始めた。」


「うん」


「デートは、家か住宅展示場になった。」


「うん。」


「モデルハウス見ながら言うんだよ。子供は、二人がいいかな?それとも三人?月は、絵がうまいからここで絵を(えが)いて。休みの日は、庭でバーベキューでもしたいねって」


月の涙が、僕の頬にあたる。


「適当に、誤魔化してたんだ。だけど、もう誤魔化せない所まできた。最初から、別れるべきだったんだよ。」


涙が、どんどん流れてくる。


月は、苦しそうだった。


「だって、真子が(えが)く未来を俺は、与える事が出来ない。別れなきゃ、別れなきゃって会う度に覚悟決めるのに、顔見たら言えなくて…。」


「月」僕は、月の頬の涙を拭ってあげる。


「結婚、子供、息が出来なかった。でも、別れらなかったのは俺のエゴだったんだよ。」


「そんな事ないよ。」


「俺の真子への愛は、愛じゃなかったんだよ。」


「そんな事ないよ。」


「そんな事あるよ。愛してるなら、相手の幸せを願って別れるべきだったんだよ。」


「じゃあ、言うの?あの話」


「ああ、話すよ。とことん嫌われないといけないってわかってるから」


「あんな辛い話、する必要ないのに…。」


「言わなきゃダメだよ。女の人の大事な五年を奪ったんだから」


「月…月は、悪くないのに…」


「悪いよ。すごく悪い。」


僕は、月を抱き締める。


「僕とならそんな事考えなくていいんだよ。」


「星」


「帰る日に話すんでしょ?」


「うん。」


「帰ってきたら、僕が抱き締めてあげるから」


「ありがとう」


月は、泣いてる。


もう、その事に苦しめられないで欲しい。


「僕とずっと一緒にいよう。何も考えなくていいから…。僕は、望まないよ。結婚も子供も」


「ありがとう。そんな風に言われた事なくて嬉しいよ。」


「月と生きていく事以外いらないから」


「ありがとう。」


また、月は僕をギュッーって抱き締めてくれた。


「おやすみ」


「おやすみ」


抱き締められた腕の中で眠る。


もう、月に傷ついて欲しくない。


でも、お別れを言ったら月はきっとすごく傷ついて帰ってくる。


僕が、抱き締めるから…。


傍にいるから…。


僕も、全部終わらせるから…


二人で、未来を歩いて行こう。



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