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相応しくないから

(るい)は、戸惑っている。


何が起きてるか、僕にはわからない。


「あれから、探したんだよ。」


「僕を…?」


月は、ゆっくり頷いた。


「でも、いなかった。」


「いたよ、月の山高校は卒業したから」


「女の子だって、思ってたから」


そうだよね。


勘違いしてたんだよね。


「早く行ける日は、待ってた。何ヵ月も…星も気づかなかったんだよね。」


「まさか、高校生だって思ってなかったから…だから…」


12年前ー。


「あれって、星の森の制服じゃね?」


「何か、美男美女だよな。」


「誰、待ってんのかな?」


「星の森って、美形多いイメージ」


「矢吹、どうしたの?帰ろ」


「あっ、うん。真矢(まや)も星の森の人興味あったりする?」


「ああ、男女共に美形が多いって話だよな。特に美術部の奴は、綺麗だって有名だよな。」


「あの人達は、よくいる感じ?」


「2ヶ月前から、ちょくちょくみるよね。知り合い?」


「ううん、知らない。」


「まぁ、誰か待ってんだろうな。帰ろうぜ」


「うん。」


あの頃、時雨と別れて幼馴染みの真矢匠馬(まやたくま)と一緒に過ごしていた。


星の森の待ってる二人が、月だって知らなかった。


知ってたら、声をかけた。


こんな未来は、なかったのに…。


月は、立ち上がった。


「星の森って、美術部が有名だったの知ってる?」


「うん。綺麗な人が多いって」


「俺は、綺麗にはいってるかは知らないけど…。幼馴染みの栞は、凄く綺麗だった。」


そう言って、棚から取り出したものを僕に渡す。


「スケッチブック、中見てみて」


そう言われて、広げる。


何、これ……。


「星に似てるだろ?」


「似てる。」


「似てるんじゃなくて、星だよ」


涙を浮かべて笑ってる僕の顔。


スケッチブック一冊、全部。


「帰ってすぐに、これを書いた」


一枚目の絵を見せる。


「どうして?」


「こんなに、ドキドキしたのは初めてだったから」


「恋してたの?」


「そう。すごく胸がドキドキした。だから、忘れたくなくて必死で描いた。」


スケッチブックの絵をなぞる。


優しい絵。


でも、この僕はもういない。


もどれない。


「男だって知らなかったから」


月は、僕の顔を覗き込んだ。


「見つけてあげられなくて、ごめん。」


涙が、ブワッーて流れてきた。


「僕も、あれから探してたんだよ。」


言わないでおこうと決めてたのに


「でも、あの場所に通っても一度も会えなかった。」


そんな僕の頬に手を当ててきた。


「その頃は、月の山に通ってたから。あそこには、全然いってなかった。」


僕は、その手を頬からはずした。


「今、何の仕事してるの?」


「今は、栞って幼馴染みの女の手伝い。色んな絵かいてるから、手伝ってる。俺は、雑用係だけどな。食事作ったり、お茶いれたり、たまに絵の色つけさせてくれたり。そんな仕事させられてる。何で?」


普通の仕事だ。


僕みたいに汚い仕事じゃない。


「あのさ、前向きに」


そう言った月の言葉を遮った。


「僕は、月に相応(ふさわ)しくないよ。もっと、素敵な人がいるよ。」


「どういう意味?」


悲しそうな顔をする。


僕の汚れは、洗って取れるようなレベルじゃないんだよ。


「そういう意味」


会いたかったのに、探してくれてたって知って嬉しかったのに…。


「ごめん。なんか、重いしキモいよな。」


違うよ、嬉しかったんだよ。


「友達では、いれない?」


「今は、考えれない。」


嘘つき、嘘つき、僕の嘘つき。


「じゃあさ、最後に()かせてよ。」


「うん。」


涙が(あふ)れそうな目で、月を見た。


「ちょっと待ってね。」


月は、鉛筆を持ってきた。


「最後の一枚だけ()かなかったんだ。会ったら書くつもりだったから」


そう言って、僕の顔を何度も見つめたり


「ごめんね」って言いながら、唇や鼻に触れる。


「ちゃんと()きたいから、触ってごめんね」って言う


穴が開くぐらいまで、見つめられて、心臓は飛び出るほどドキドキした。


どれくらい(えが)かれたのかな?


「できた。」


って言って見せてくれた絵は、すごく綺麗で、写真みたいで、僕じゃないみたいで。


涙がこぼれ落ちた。

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