流星との再会
俺は、フラフラしながらタクシーに手をあげた。
タクシーに乗って、流星のマンションに行った。
ピンポーンって何度も鳴らすけどでない。
どこだよ。
タクシーをまた拾って、実家に行った。
ピンポーン、ピンポーン
ここも、いないのかよ。
ガチャ…
「もう、いい加減。帰れよ。頼んでないのに助けやがって。あんたといると吐き気がするってわかってるだろ?」
流星が、出てきた。
「なんで、いるの?」
流星の目から涙が、溢れだした。
俺は、流星を抱き締めていた。
「月、なんでいるの?」
「生きろよ。生きろよ。俺が、愛してやるから生きろよ。」
「月、なんで」
流星は、泣いている。
俺は、流星を玄関に座らせた。
「昨日、死のうとしたって母さんがあの部屋にも行ったけどいなかったから…。」
「ああ、一回は行ったけどやっぱりこっちがよくて」
俺の涙を流星が撫でる。
頬の傷を撫でて、唇を撫でて、首を撫でて、ネックレスを触った。
「もう、俺への激しい愛情なくなったんだな。」
そう言って悲しそうに目を伏せた。
「ごめん。化け物に喰われたくなかったから、ずっと会えなかった。」
「いや、いいんだよ。俺は、月に化け物になって欲しくなかったから」
兄さんの言葉を絞り出してるけどお通夜みたいな顔してる。
「本音言えよ。良い子ちゃんの兄貴の言葉なんか聞かすなら帰るよ。」
俺が、立ち上がろうとした腕を流星が掴んだ。
「行かないで、月が欲しい。月がいないと生きていけない。月の愛が欲しい。」
そう言って俺の腕にすがりついて泣いた。
「やっと、本音言った。」
そう言って俺は、流星を抱き締めた。
抱き締めると流星が、
「娘が産まれた。産まれてからはどんどん愛が急速に減っていった。あの日、星さんを見た時、月と愛し合って幸せなのを感じた。辛くて苦しくて、ここで愛を補って戻る日々を過ごした。」
俺は、流星から離れた。
「月との日々が、薄れてきていた。完全に補えなくなったのは昨日の朝だった。なぜか、目を覚ましたら両親と宇宙兄さんがいた。必要ないのに生かされた。」
「流星、医者なんだよ。命を粗末にするなよ。」
そう言った俺の目を見つめながら、
「前にも言ったけど俺は、医者だけど一人の人間だよ。傷つくし、辛いこともある。絶望だってするんだよ。」
そう言うと、右手の包帯をスルスルはずした。
華君と同じような傷だ。
手首から、二の腕にかけて
「ちゃんと、医者の仕事できるのか?」
俺は、縫われたばかりのその傷を見ながら言った。
「できるはずだよ。医者だから、どうしたらいいかわかってやったのにな」
「そんなとこで医者を使うなよ。」
そう言うと流星の目から涙がボタボタ落ちていく。
「やっぱり、宇宙兄さんには叶わないよ。」
「えっ?」
「あの人は、感情はないけど技術は一流だよ。あの人は、天才だよ。この傷だって、綺麗に縫われているよ。」
「そうなんだな。」
「うん。いかに早く出血を止めるか、元のように手を使えるか考えながら縫われてる。あの人の病院に運ばれた方が助かる命は多いはずだよ。」
「なんで、そんなに自分を卑下するんだよ。流星は、いいお医者さんだよ。」
そう言って俺は、流星の頭を撫でてあげると流星は泣き出した。
「月、兄弟以上の関係が欲しい。」
「それは、俺は」
「キスぐらいまでならダメだろうか?」
「わからない、でも、俺は出来るだけ流星が望む事を叶えてあげたいよ。それで、流星が生きてくれるならそうしたいと思ってる。愛がないなら俺が与えるから…。乾かないようにするから」
流星は、泣いている。
「欲しい、月の愛が欲しい、欲しくて欲しくてたまらない。俺を愛して、どんな形でも傍にいて」
「わかってるよ。そうするから」
俺は、流星を抱き締めた。
俺は、流星に愛を与えてあげたい。
どんな形でも、傍にいたい。
だから、もう生きるのを諦めないで欲しい。




