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氷雨との再会

僕は、時雨に言われたお店でプリンを買った。


氷雨の顔に、絶望が広がっていったあの日を思い出した。


タクシーで、時雨の家にきた。


鍵を開けてはいる。


時雨の香りより、僕の香水の匂いの方が濃くなってる。


冷蔵庫にプリンを入れた。


すごい量の豆腐だ。


まさか、麻婆豆腐しか食べてないわけ……あるんだね。


氷雨、何してんのよ。


洗濯物のカッターシャツは、シワシワだ。


これで、仕事に行ってたり……するんだね。


アイロンを見つけたから、アイロンをあてていく。


10着は、あてたよ。


疲れた。


横になって、寝ていた。


.

.

.

.

.

ポタポタって水が顔にあたって目が覚めた。


寝てたんだ。


起き上がった瞬間、ゴンッ


「イタッ」


「ごめん。」


氷雨が居た。


「頭、ぶつけちゃった。ごめん」


そう言って、僕の頭を触ってくれた。


涙が出てる。


「氷雨、泣いてるの」


手を頬に当てる。


「ごめん、帰って。兄さんに言われてきたんだろうけど。僕は、星を殴りたくない。」


そう言って立ち上がって、スーツを脱いでる。


久々に、氷雨のスーツ姿見た。


やっぱり、かっこいい。


だけど、あの激しい愛情(きもち)はなくて今は氷雨を助けたい気持ちしかない。


しわしわのカッターシャツ着てた。


「あの、これ」僕は、カッターシャツを渡した。


「だから、帰れっていってんの」


カッターシャツを持っている手を振り払われた。


床におちた。


僕は、床におちたカッターシャツを拾う。


拾ってると突然氷雨は僕の腕を掴んで引っ張りあげた。


「やめてよ。」


「帰れよ。」


そう言って手を振り上げる。


絶対に受け止める。


目をつぶった。


バンッ、壁に押し付けられた。


「氷雨」    


「ワーワー」


膝から崩れおちた。


僕は、氷雨を抱き締めた。


「足りないなら、あげるから。

いくらでも、傍にいるから。だから、もう苦しまないでよ。」


バンッって、押し倒された。


「ふざけんな。」


「ふざけてない。僕が氷雨を守ってあげるから。愛をあげるから」


「その愛は、もうあの日の愛じゃない。」


そう言って、ボロボロ泣いてる。


飲み込まれないのは、飼い慣らせたからだ。


そうなれたのは、月のお陰だ。


だから、僕はこの愛を氷雨にもあげたい。


「だったら、いらないの?氷雨への愛があのドロドロした化け物じゃなかったらいらないって事」


「欲しいに決まってるよ。どんな形でも、星が欲しい。子供が産まれてからよけいにそう思った。」


そう言って僕を起こしてくれた。


「あげるよ、いくらでも。」


僕は、氷雨を抱き締めた。


「ずっと、欲しい。もう、誰かにあげれる愛がなくなった。あの日、月さんが兄さんを助けた時に絶望した。兄さんを助けるのは自分だと信じてたのに。目が覚めた兄さんを救ったのは、月さんで。星を救ったのも月さんで…。僕は、あの人に何一つ勝てなかった。」


氷雨…氷雨は、ずっと苦しかったんだ。


「時雨の事で絶望していた時に救ってくれたのは氷雨で。月と過ごしていても、忘れた日なんて一度もなかったよ。だけど、化け物に食べられる自分が怖くて会えなかった。ごめんね。こんなに待たせてしまって」


そう言って泣いた。


氷雨は、僕のおでこにおでこをくっつけて


「そんな顔しちゃダメ」って言った。


うん。


僕が頷いたら、氷雨は笑って。


「星と、友達以上の関係が築きたい」と言った。


「それは、どういう事?」


「抱き締めたり、手を繋いだり、一緒に添い寝したり、おでこをくっつけたり…もし、可能ならキスしたい。」


そう言って、氷雨が笑う。


「キスは、いいのかな?」


「わからない。でも、星の愛がすごく欲しいんだよ。心が空っぽで、妻に与える愛も子供に与える愛もない。」


「満たしてあげるよ。ちゃんと、僕が…。」そう言ってギュッと抱き締めた。


「男の子だった?子供」


「うん。春雨(しゅんう)って名前だよ。」


「氷雨に似てる?」


「似てない」


「可愛くないの?」


「可愛くない」


心が、空っぽなんだ。


だから、愛せないんだ。


「氷雨、僕が満たしてあげるから」


また、氷雨を抱き締めた。




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