怒りの電話
俺と星は、片付けや引っ越しで忙しくしていた。
栞は、美咲さんの店や晴海君の店に絵を描いておろす仕事を始めた。
「月との色々で、僕の絵はさらに向上したって知ってた?」
「言うなよ、はずいだろ」
「照れんなよ。」
そう言って、栞につつかれる。
「でも、僕、月に感謝してるんだよ。あの日解き放てたから、化け物」
そう言って、俺の頬の傷を撫でる。
「はい、イチャイチャしたら次から罰金だから」
美咲さんが、栞と俺を引き離した。
「イチャイチャって、幼馴染みだから」
栞がいうと、美咲さんは笑って
「あのね、栞ちゃん。月君への好きが駄々漏れなんだよ。」
「はぁ?麻美が好きだわ」
「違うな、愛してるだろう。喰いたいぐらい愛してる」
その言葉に栞が、固まった。
「わかってるよ。月と一緒になれないのなんて昔から」
「悪いな、いじめたな。でも、いい関係だから嫉妬したんだよ。俺も詩音って呼んでくれるなら、栞ちゃんをもういじめないよ。」
そう言った、美咲さんの言葉に栞が
「呼べ、詩音って呼べ」と怖い目を向けている。
「わかった。わかったから、そんな目をするなよ。」
「約束だぞ。」そう言って栞は、自分の絵を持っていく。
「酷いよな、俺」
そう言って美咲さんが、隣に立った。
「いえ、大丈夫ですよ。」
「栞ちゃんは、ずっと月君を愛してたからね。子宮の話聞いたでしょ?」
「はい。」
「あの時に、完全に月君を諦めたの知ってるよ。従兄弟だから」
そう言って美咲さんは、栞を見つめてる。
「麻美ちゃんに出会わなければいろんな意味で崩壊してた。月君には、そんな話しないだろ?」
「はい。」
「栞ちゃんは、月君を愛してるよ。今もずっとその想いと生きてる。だから、すごい絵が描ける。芸術家には、必要な気持ちだよね」って笑って言ってる。
「そうですね。」
確かに、あの日を境に栞の絵は、もっと震える程のものにかわった。
あの事は、よかったのだと感じられる。
「詩音」
「やー。呼んでくれるの。嬉しい」
抱き締められた。
「やめろ、離せ」
栞が、俺と美咲さんを引き離した。
ブーブー
「ごめん、電話」
「はい、はい」
俺は、スマホを取り出した。
誰だろうか?
「はい」
その声に息が出来なくなる。
「あんた、流星に何した」
「何もしてません。」
「嘘をつくな」
「ついていません。」
「あんたが、流星に近づいたのはわかってる」
「どういう意味かわからないのですが」
「命を助ける人間が、命を粗末にしようとするのは、あんたに会ったからに決まってる」
そう言って、母さんはすごく怒ってる。
「命を粗末って何の話ですか?」
「昨日、流星が死のうとした」
えっ…。流星が…愛が枯れたのか
何で。
「兄さんは、どうしてるんですか?」
「父さんが、胃の中を洗浄して宇宙が縫ったから助かった。」
「よかった。」
「あの物置で、死のうとしたのはあんたのせいだ。あんたが、流星に関わったのは知ってる。宇宙に聞いた。一緒にきたって」
母さんは、俺を怒鳴りつける。
物置で、あの家で。
「宇宙と私達が、あの家に行かなかったら流星はいなくなってた。手だって使えなくなってたんだ。あんたのせいだ。あんたがいつも流星をダメにする。あんたのせいだ」
ずっと、あんたのせいだと怒鳴られている。
涙が、止まらなくなってきた。
手の震えも止まらない。
「兄さんは、どこにいるんですか?」
「教えるつもりはない」プープー
電話が切れた。
流星兄さんは、どこにいるの
母さん、何で教えてくれないの
俺は、フラフラとその場に崩れ落ちた。
「月、どうしたの?」
栞が俺に駆け寄った。
俺は、さっきの話を栞にした。
「もう、後は麻美にきてもらうから。月は、探しておいで。会っていた場所は、わかってるんでしょ?」
「うん」
「早く立って。助けれるのは、月だけ。お母さんの言葉なんか信じちゃダメ」
そう言って、栞は走って中に戻ってから戻ってきた。
「はい、鞄。早く行く」
そう言われて、フラフラと歩き出した。




