過ぎ行く日々と時雨のお願い
あれから、片付けに終われて、2月の終わりには、月と引っ越しをして…。また、片付けに終われて、バタバタしていて落ち着いた頃には4月も半ばになっていた。
4月中旬ー
4月に入って一度も顔をだせなかったから、時雨からメッセージが入ってきた。
(駅前の、幸星のプリンが食べたい。)
毎回、どこどこのプリンを買ってこいと頼まれていた。
頻繁には、いかなくなっていた。
氷雨との事が、無理だと言われていたから…。時雨も僕に会いたくないと思っていた。
言われた通りに駅前でプリンを買った。
雑誌とかで見るのかな?
時雨が、プリン好きなのを知ったのは意識がもどってからでこんなに付き合いをしていたのに知らない事があったのが笑えた。
コンコン
「はい」
「買ってきたよ。」
プリンを時雨に渡す。
「サンキュー、俺、夏には、退院できるって」
そう言いながら、時雨がプリンを取り出してる。
「よかったね。氷河は?」
「全然。車イスで会いに行くようになったんだけどさ。まだ、寝てる」
「そっか。僕も後で会いに行こうかな」
「そうしてやってよ。今月初だろ?耳は聞こえてるからさ」
そう言いながら時雨は、プリンを食べてる。
「あのさ、氷雨との事なんだけど」
「なに?」
「いっぱい考えたんだけどさ。許すよ、俺」
そう言って、時雨が泣いてる。
「泣いてるよ。」
僕は、ハンカチを渡す。
「ごめん。なんでかな。やっぱり、どっかで星に愛されてるのは俺がよかったって思ってるんだな。だからかも」
時雨は、ハンカチで涙を拭きながら言った。
「無理しなくていいよ。」
僕の言葉に、時雨は首を横にふった。
「無理してでも、受け入れないとダメなんだよ。」
「どうして?」
そう言った僕の顔を見て時雨が、
「氷雨を助けて欲しい。お願いします。」と頭を下げる。
「時雨、頭あげてよ」
そう言うと時雨が、「氷雨が、奥さんに暴力ふるいだした。」って言った。
「えっ?嘘だよね。氷雨君は、そんな事しないよね。」
僕の言葉に時雨は、「嘘じゃないよ。母さんが、初めて俺に相談しにきたから」って言った。
「そんな、何で?」
「愛がなくなったんだろ。氷雨の中にあった愛が」って言いながら時雨は泣いてる。
愛がなくなってしまった。暴力、頭が追い付かない。
「星、氷雨に会ってあげて欲しい。お願いだよ。」
僕は、答えられなかった。
「自分の中の化け物が怖いか?」
「えっ?」
「氷雨に会うとそうなるかもしれないって思ってるんじゃないのか?」
「そうだね。」
そうだ、僕は怖いんだ。氷雨と会うのが…。華君の腕の傷を思い出して怖いんだと思う。
「大丈夫だよ。星には月さんがいるから、絶対大丈夫だよ。」
時雨は、そう言って笑ってる。
そうだ、僕は月のお陰で化け物をペットに出来たんだ。
だから、大丈夫だ。
「これ、家の鍵」
そう言って時雨が、鍵を渡してきた。
「奥さんに二回暴力ふるってから、氷雨、俺の家に住んでるみたいなんだよ。」
「そうなの?」
「うん。次、殴ったら止められないって母さんに言ったんだって。それで、しばらく兄さん家に住むって言ってきたみたい。」
「そっか…。」
僕のせいで、氷雨が苦しんでしまったのなら助けてあげたい。
「夜の7時には、帰ってくるから家に居てあげて欲しい。」
「これで、はいってって事?」
「うん。それからさ、sugarって店のプリン買って待っててあげてよ。」
「それって、こないだ割れてたプリンだよね?」
「うん。俺が小さい氷雨に小遣いでよく買ったやつ。場所は、ここな」
そう言って紙を渡してきた。
「星にしか、氷雨は救えないってわかるから…。兄貴として頼みます。弟を助けてあげて下さい。よろしくお願いします。」
そう言って時雨が頭を下げた。
「わかった。行ってみる」僕は、時雨に頭を下げて病室をでた。
氷河に会って、少し話しかけた。
そして、病院を出た。
怖いけど、氷雨を助けてあげたい。




