どうなってんの、俺
カボチャの煮物作ってる。
星の喜んでくれる顔が浮かぶ。
と、同時にさっきのを思い出す。
涙が、溢れてくる。
あんな風にするんだな。
あんな奴に出来んなら、俺にも…
何考えてんだ、俺。
煮物作って、ボッーとして星を待ってだけど全然こない。
7時になった。
迎えに行った。
何で、震えてんの?
俺が、怖いのかな?
なんか、したか?俺。
でも、ついてきてくれた。
カボチャの煮物食って泣いた。
泣く程、うまいか?
触れたいけど、怖いんだよな。
俺の事…。
いろいろ聞いた。
やっぱり、両方いけるんだな。
まだ、いるんだな。
ああいうの。
俺、また聞いちゃうのかな?
そう思ったら、涙がでてくる。
どういう感情なんだろうか?
頭の理解が、追い付かないな。
触れたいけど、震えてたから…。
怖くて、無理だよな。
「あのさ、僕の事好きだったりする?」
何で、そんな事聞くんだよ。
「別に」
「だよね、そんな分けないよね」
そんな風に言って悲しそうな顔すんのなんなんだよ。
「壁、薄いのにごめんね。聞こえたよね?」
何で、そんな事聞くんだよ。
聞いてたのわかってるからか?
「別に、気にしないよ。俺もそういうのするだろうから…。」
なんで、嘘つくんだろう。
ペラペラと、この口は…最低だ。
「そうだよね。当たり前だよね」
何で、泣いてんの?
やっぱ俺の事、怖いんだな。
「ああ、普通だよ。」俺は、見ないフリしてビールを取りに行く。
「はい、ビール」
「ありがとう。」
なんて綺麗な顔して泣くんだろう
さっきの人達の声が響く。
「みんな、星の泣き顔好きなんだな。綺麗で泣かせたくなるよな。本当」意地悪を言ってしまった。
「月もしたくなるの?」
目に涙が溜まってく。
殴るのは、愛情じゃないとか散々言ったくせに…。
俺、何か腹立って
「どうやったら泣くの?殴ったら泣く?蹴ったら泣く?それとも、嫌な事言ったら泣く?」
何言ってんだ、俺。最低だな。
「僕にそうしたいの?いいよ。」
俺の手を、痣ができて腫れてる頬に持っていく。
「やっていいよ。」
もうすでに泣いてるよ。
「大丈夫だから」
何、言ってんの?
「クズ」バチン…
「橘を汚す、醜い子」バチン…
「母さん、これは愛してるって事?」
「気持ち悪いんだよ。その目」バチン…
愛がなんなのかわからなくて欲しがって、勘違いしてた俺の目に似てる。
「月、婆ちゃんは月を殴らないよ。月が、悪いことしても殴らない。そのかわり、抱き締めてあげるから…。」
抱き締めてあげるから。
俺は、星を引き寄せて抱き締めた。
震えてない、よかった。
「なに?」
動揺してる、星の耳元で言う。
あの日、婆ちゃんに言われた言葉
「殴るのは、愛じゃない。愛してるから、殴りたくない。だから、俺は、星を殴らないよ。そのかわり沢山抱き締めてあげるよ。」
「アー。ワァー。」って星が泣き出した。
俺は、背中を擦ってあげる。
「ママ、ママ。抱き締めて欲しかったよ。」って泣いてる。
「大丈夫だよ。」
俺は、ずっと抱き締める。
沢山、泣いていいよ。
ママに殴られたくなかったよな。
「ママ、ママ、ママ。僕を愛してよ。僕を好きだと言ってよ。」
星が、欲しがる事を今はしてあげたい。
「好きだよ、星」
「ママ、ママ、ママ。僕は、必要?」
「必要だよ。」
「ママ、ママ。愛してるよ」
「愛してるよ。」
俺の言葉に泣きつかれて寝たみたいだ。
酔いが、回ったかな?
布団に寝かせてあげた。
星が欲しかったのは、ずっとママだよな。
ママがいなくなって、埋まらない孤独を抱えてたんだよな。
だからって、どんだけの人と付き合うんだよ。
星の体と心が、もたないよ。
俺は、しばらく星を見てた。
隣で、少しだけ寝ようかな。




