一緒にいれませんか?
仕事から帰ってきて、タクシーで家の下についた。
ちょうど、星も降りてきた。
「星」
俺の声にビックリしてる。
「その紙袋、お土産?」
「えっ?違う」
俺は、紙袋を覗き込んでた。
「割れてグチャグチャだよ。」
「あっ、うん。」
「なんか、あったの?」
「あっ、うん。」
星の目から、涙がおちていく。
「許されなかったか?」
俺は、星の手を繋いで家に連れてきた。
「たぶん、そうだと思う」
「そっか」
割れたプリンを流しにひっくり返した。
水で流してると、星も見ていた。
「氷雨に僕を渡したいからしたんじゃないって、時雨の目が怒ってた。」
そう言って俺の腕にもたれかかって泣いてる。
「そうだよな。彼は、俺と一緒にしたいから説得したんだよな。」
俺は、ガラスをよける。
「僕の事も怒ってるよ。」
「時間が、必要なだけじゃないか?」
そう言いながら、俺は、洗ってる。
「月と一緒になりたい僕の為に、時雨は明日香に話をしに行ったんだよ。だから、氷雨を選んだ僕も許せないんだよ。」
俺は、手を洗って星の肩を掴んだ。
「だったら、ちゃんと言えよ。僕は、月じゃなくて氷雨がどうしようもなく好きなんだよ。って、言ってこいよ。」
星は、よけいに泣いてしまった。
「ちゃんと伝えろよ。時雨が寝てる間に氷雨を愛してしまったって、でも傍にいれないって伝えてみろよ。」
「出来ないよ。目が覚めたばかりの時雨に言えないよ。」
星が、その場に崩れ落ちた。
「ごめん、ごめん。酷いこと言って」俺は、星を抱き締めた。
「僕が悪いんだよ。僕が悪いんだよ。」
繰り返す星を抱き締めた。
「明日、俺も一緒に行くよ」
「いいよ。一人で大丈夫」
「苦しむなよ。一人で」
「わかってるよ。」
俺は、星から離れた。
「本当は、言いたいんだよ。氷雨を愛してるって。でも、月も愛してるんだよ。理解されるわけないんだよ。」
そう言って、ポロポロ泣いてしまう。
「ごめん。わかってるのに、酷いこと言って」
俺は、星を抱き締める。
「お酒飲もうか」
「うん」
毎日、毎日、俺達飲みすぎだよな。
俺は、キッチンからワインをもってきた。
「美咲さんの作ったワインもらってきた。」
「永遠の愛でしょ?」
「栞にもらってきた。」
「なんで?」
「俺、そう言うのはいいよって思ってたんだけど…。今の星見てたらちゃんと言わなきゃいけないって思った。」
そういうと、星は正座してる。
「この先ずっと、死ぬときまで一緒にいれませんか?」
そう言って俺は、鞄から腕時計を出した。
「なに、これ?」
「同じ時計で、同じ時間を刻んで生きて生きたいです。星の事、ちゃんと幸せに出来る人になります。氷雨君への気持ちを失くさなくたっていい。もし、氷雨君を選ぶ日がきても構わない。それでも、俺は、星と生きていきたいです。」
そう言って、時計を星の前に差し出した。
「月、本当にいいの?」
「もちろんだよ。」
「これからだって、傷つけちゃうし、氷雨君への愛を捨てられないよ。」
「構わないよ。俺だって同じだから」
「よろしくお願いします。」
そう言って、星が抱きついてきた。
嬉しくて、涙がでた。
「誓いのキスしとく?」
「いる?」
「いるよ。」
星は、俺の手に時計をはめてくれてる。
「じゃあ、時計つけたら」
俺も星の手に時計をはめた。
向き合って、唇と唇を重ね合わせた。
心の中に暖かい想いがいっきに押し寄せてきた。
嬉しいのに涙がとまらない。
前に、星が言ってた気持ちに辿り着いたのがわかった。
「やっと、同じ気持ちに慣れたんだね」
そう言って、星が俺をギュッーって抱き締めてくれた。
しばらく抱き合って、離れた。
俺は、美咲さんにもらったワインをグラスに注いだ。
「永遠の愛に、乾杯」
カチンとグラスを合わせた。
俺は、後ろから星を抱き締めながらワインを飲んだ。
星が、どんな答えを出してもずっと傍にいるから…。




