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届いた願い

僕と(るい)は、あの日からしばらくは飲んで暮らしていたけれど…。


4日目から、月は仕事に行って休みの日には、二人で不動産屋さん巡りをしていた。


それから、二週間が経った。


後、二日で、一月が終わる夜。


僕のスマホが鳴った。


「でたら?」


月に言われて、電話を見た。


氷雨君だった。


「はい」


「兄さんが、先ほど目が覚めました。」


「えっ!!」


「もう、夜遅いので明日来てあげて下さい。ひかると叫んでいましたので…」


「そうなんだ。」


「はい、明日の午後には別の病棟にうつりますので来てあげて下さい。失礼します。」


「失礼します。」


敬語か、目に涙が溜まっていく。


「どうした?」


「時雨の目が覚めたって」


「ほんとか、よかったな。」


月は、泣いて泣いて喜んでくれた。


「明日の昼過ぎに行ってくるね」


「うん。いっぱい話せるといいな。」


そう言って月と飲んだ。


次の日ー


「気をつけていってきな」


月が、頭を撫でてくれた。


「仕事、頑張ってね。」


「ありがとう」


「ハグしとく?」


「しとく」


月が、ハグしてくれた。


そして、月は出ていった。


僕は、家の片付けや掃除や洗濯をして、まだ時間があるから太陽町の物件を見ていた。


もう、そろそろ行こうかな。タクシーを呼んだ。


しばらくしてから、家を出た。


タクシーに乗った。


星城病院にきた。


受付で、時雨の事を聞こうと思ったら月のお兄さんが僕に近づいてきた。


「こんにちは。」


「こんにちは」


ゾクッと寒気がする程、目の奥が怖い。


「拝藤時雨さん、だよね?」


「はい。」


「ついてきて」そう言って連れて行ってくれる。


「月は、元気にしてる?」


「はい、元気です。」


「よかった。」


「橘先生は、元気ですか?」


「元気にしてるよ。春には、家族も増えるからね。」


そう笑ってるけれど…。

悲しい顔をしてる。まるで、誰かが死んでしまったような顔をしてる。


「ついたよ。拝藤さんは、すごく元気だよ。失礼します。」そう言って、月のお兄さんはいなくなった。


「失礼します。」個室だった。


時雨は、何かに夢中で気づかない。


生きてる、生きてる、生きてる


涙が、こぼれ落ちてきた。


「そんな顔しちゃダメだ」


ひさ…時雨。


「氷雨だと思った?」


「いや、そんな事はない」


「聞いてたよ、俺」


「なにを?」


僕は、時雨の隣の椅子に座った。


「毎日、毎日、時雨ごめんね。氷雨に酷いことをしてごめんねって聞こえてた。」


「あっ、聞こえるものなんだね。」


「聞かしてたんじゃないの?」


「わからない。ただ、謝りたかった。」


時雨は、僕の頬に触れた。


「月さんと一緒にさせてあげるつもりが、氷雨に会わしてしまってごめん」って言った。


「どうして?」


「氷雨が、星を好きなのは高校の時から知っていた。」


僕は、驚いていた。


「氷雨に聞いたか?氷雨は、星に会うと気持ちに嘘がつけないのがわかっていた。でも、会うことはないと思っていたから気にしてなかった。だから、俺が悪いよ。ごめん。」


時雨は、僕に頭を下げる。


「頭下げないでよ。僕が望んだ事なんだから」


「俺は、あの日、月さんと星を一緒にする為に明日香に交渉したんだ。氷雨に、星を渡したいからしたんじゃない。」


パリン…。


「ちょっと見てくるね。」


「うん。」


開けたけど、誰もいなかった。


床に、紙袋が落ちていた。


「時雨、これが落ちてただけ」


その紙袋を見て、時雨が、


「氷雨に聞かれた」って言った。


「紙袋でわかるの?」


「中身開けてみ、プリンはいってる。割れてるだろうけど」


そう言われて、紙袋の中の箱を開けるとグラスに入ったプリンが割れていた。


「やっぱり、氷雨だ」そう言って時雨はプリンを見てる。


「ごめん。また、明日来て。後、それ捨ててほしい。」


そう言って時雨は、ベッドに寝転がった。


僕は、その袋を下げてトボトボと病室を後にした。


タクシーに乗って、家に帰った。



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