プロポーズ
僕と月は、目を奪われていた。
「すごいね、月」
「ああ、綺麗」
月は、僕の手を繋いでくれる。
一人目の人が、マイクで叫んだ。
「緑さん、私と結婚して下さい。」
女の人は、「はい、喜んで」と泣いていた。
何て素敵な光景なんだろうか?
何人も続いて、最後の一人が呼ばれた。
僕は、ずっと泣きっぱなしだった。
「では、今宵の最後の一人は、真矢匠馬さん」
えっ?僕と月は、キョトンとした顔で見つめ合った。
「津久井美子さん、前へ」
そう言って、美子さんが前に言った。
「美子、俺とずっと一緒に居てください。結婚しましょう。」
そう言うと、美子さんは「喜んで」と笑って泣いてた。
月と僕は、グラスを置いて泣きながら拍手をした。
「今宵の6名の永遠の愛を祈っています。」パチンと光がかわる。
薄いピンク色のライトに切り替わる。天井の星空が、流れ星のようにキラキラ流れ始めた。
「後、一時間ごゆっくりお楽しみ下さい。」そう言って美咲さんはこっちに歩いてきた。
僕と月は、席に戻る。
全員、戻ってきた。
「真矢、最初から言ってよ」
僕の言葉に真矢が、「さっき決まったから」って頭を掻いた。
「えっ?」
「栞さんが、描いた絵で決まったんだ。」
その言葉に月が、
「他に仕事ってこれ?」っと聞いたら…。
「そう、結婚したいってカップルにこの店で会って絵を描くの。10年前からやってる。描いた絵が、まやたく君のような綺麗な絵なら、この場所でプロポーズが出来る。月に描いたような絵なら、プロポーズは出来ない。詩音が決めたルール。」
その言葉に美咲さんが、「この店に、さっきの装置を使うって決めた時から思いついていた。でも、噂が流れないといけないから…。
私の両親を化け物に描いて、離婚するって言った栞ちゃんを誘ったってわけ」と笑った。
「ハハハ」栞は、笑ってる。
「実際、その二ヶ月後に離婚したんだけどね。父親に愛人がいたみたいで」
そう言って、店員さんに渡されたボトルを受け取っている。
「この町のワインを作ってる場所でね。ロゼワインを作ってもらってるんだ。」美咲さんが言うと店員さんが、グラスを置き始めた。
「プロポーズが、成功した人に私がいれる。プレゼントです。」そう言って真矢と美子さんのグラスに注ぐ。
濃いピンク色のワインだ。
「じゃあ、お連れ様の分はよろしくね。」
そう言って、美咲さんはいなくなった。
僕達のグラスにも、注がれた。
ワインボトルを置いて、店員さんはいなくなった。
「おめでとう」そう言って乾杯した。
ワインのラベルを見ると、(永遠の愛)と書かれている。
「すごいね」
僕の言葉に真矢が、「矢吹もプロポーズされたいのか?」って言われて顔から火がでそうになった。
「ちが、違うよ」ブンブン首をふった。
「酔いがまわるよ」月に、頭をおさえられて、ドキドキした。
月をここまで意識したのって、最近なかった。
「やっぱり、矢吹プロポーズされたいんだよ。」真矢に笑われている。
「しようか?」月にからかわれている。
「いらないから」
栞さんが、笑って「そんなのいらないぐらい、月は星さんを愛してるよ」って言ってワインを飲んだ。
「確かに、二人には結婚とかいらない感じがするよ。」真矢も笑ってる。
「したいなら、俺はするよ。」月にニコって笑われて、胸の奥がトクンって鳴った。
「もう、いいからそういうの」そう言って僕はワインを飲んだ。
楽しい時間は、あっという間に過ぎた。
「そろそろ閉めるから」美咲さんに言われて、僕達は店をでた。
「また、きてね」って言ってくれた。
「ご馳走さまでした。」栞さんに皆がお礼を言った。
真矢のプロポーズ成功に、全額支払ってくれた。
「ううん。結婚式するなら呼んで」と笑っていた。
麻美さんに送ってもらう。
「次は、初詣。みんなでいこうよ」
栞さんの提案に賛成した。
僕と月をおろしてくれた。




