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正体

作者: 朝焼 悠

僕はこれまで

傷付いてきた過去を盾にして

自分を責める時間ばかり割いて

人を拒絶してきただけだったのかな


人が怖くて

顔もまともに上げられなくて

目を伏せ 斜め下ばかり見て

歩いてきた


綺麗事を吐くこの口も

被害者ぶっているこの顔も

元を辿ってしまえば

自分を守る為のもので


それでも僕の底の浅さなんて

とっくにバレているはずだから

人を拒み続けた僕は

最早 捨て置かれている存在なんだ


トラウマや悪夢に憑かれ

耐えるだけで精一杯だった

今更どうにもならないよ

全ては無駄だったんだ

誰も信じられないと嘆いて

落ちるべくして落ちた孤独の中で

腕を噛みながら声を押し殺して流した涙

そうやって越えてきた夜の全ても


伝わって欲しいと願ったけれど

分かって欲しいと願ったけれど

理解し合いたいと願ったけれど

自分の為が外せなかったから

誰にも届くはずなんてなかったんだ


今になって少し気付いた所で

じゃあ明日から両手を広げて笑顔で

なんてできる訳ないよ

苦しくて怖くて仕方ないのは

今だって変わらないんだから


そうやって数多の言い訳を重ね

遂に一歩を踏み出さなかった僕は

それでも生きる事を止められなかった僕は

きっとこれからも独りで自ら傷付けながら

声を押し殺し泣きながら

壊れた心を抱えて 幾つもの夜を越えていくのでしょう


だからせめて僕は自分を晒します

もう誰の力にも希望にもなれない僕が

もう誰とも触れ合う事もできないであろう僕が

こうして惨めな姿を晒す事で

ああなったら終わりだと もう取り返しがつかないと

誰かに思ってもらえる事で

曲がりなりにも人のきっかけになれるなら

それこそ 僕がここにきてから描いた唯一の夢だから


ぼろぼろになって凝り固まった僕が

誰かに伝えられるのはもうこれくらいだから

手を伸ばすつもりも勇気も無いくせに

手を差し伸べられる事ばかり期待しちゃ駄目だ


なんて最後まで自分しか見ていない僕が言えた義理でもないが






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― 新着の感想 ―
[一言] こんばんは。 私も苦しみを経験している途中の者です。 苦しくて悲しくてやりきれなくて、眠れない夜もありましたが、確かだったのは、ある人が言っていた言葉でした。 「自分で一人ぼっちを選ばなけれ…
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