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勇者な七魔王  作者: 結城楽人
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誕生編

 長き旅路を経て、遂に魔王の城に4人のパーティが辿り着く。

 剣と魔法に彩られた王国パルテアは栄華を誇る大国であった。平和な世界が崩れ始めたのは数年前、ある頃より魔獣、魔物と呼ばれる怪物達が現れるようになる。あるものは凶悪な動物のような形、あるものは知性を持った人の形をとっていた。魔物達の討伐が始まり、王国は魔物達の王と呼ばれる魔王の存在を知る。魔王の討伐隊として選ばれたのは4人。

 1人は生まれつき人より遥かに強い魔力を持ち、認められた者しか抜けないとされる光の剣エクスカリバーを携え、世界の命運を「世界」から託された勇者、1人は筋骨隆々の体を鎧に包んだ王国の騎士団団長、1人は眼鏡を掛け、片手に魔導書を持った王国の宮廷魔道士、残る1人は弓矢の名手として名を馳せていた狩人だった。

 幾つもの冒険を経て、彼らは遂に魔王と対峙する。およそ5メートルはあろう体躯、額には大きな角、背中には蝙蝠のような翼を生やして魔王が降臨している。

 かくして、世界の命運を決める戦いが始まった。だが、今までどのような魔物達も葬ってきた彼らでさえ、魔王を倒せない。いや、確実に魔王の力を確実に削いではいたのだ。しかし、光の剣を振るい、剛腕で斧剣で切り裂き、魔導書からの攻撃、支援魔法を駆使し、ピンポイントの狙撃を以ってしても、それでも魔王は倒れなかった。

「世界に怒り、恐れがある限り、私を倒す事はできない。勇者であろうとたかが人間ごときに、この私が殺せるものか。」

 パーティが疲労困憊する中、魔王の声が響く。魔王は倒せない。その事実を突き立てられ、皆が絶望して尚、目を輝かせ未だ膝をつかない者がいた。

 世界を託された勇者である。可能性はあった。魔王が倒せないという可能性。それなら、やり方はある。倒せなくてもやり方はあるはずだ。彼が保有する魔力量は人より多かったものの、彼が使う魔術はほんの数種類だった。彼は主に筋力の増加、自身の回復などにしか魔力を使っていなかった。

 だが、彼が使える魔法はあと一つ。光魔法、その中でも特殊な封印術である。パーティの仲間にさえ秘密にしていた魔法を彼は遂に魔王へ放つ。

 未だ抵抗を続けようとする勇者を、魔王はただ悠然と眺めていた。

(知っているぞ、その術式は知っている。たかが光系統の魔法、たかが封印術などが効くものか。何に、どこに封印する気かは知らないが、すぐにその封印も解いてやる)と

 その油断を勇者は見逃さない。封印の呪文を唱え続けながら、彼は魔王を睨めつける。

 封印する先は決めている。その結果、どうなってしまうかは分からない。それでもやるしかない。やれるのは自分しかいない。

 呪文を唱え終わり、勇者が掌を魔王に向ける。すると、魔王の体は少しずつ崩れ始める。それでも笑みを浮かべる魔王。

 その表情が変わったのはその直後だった。魔王の体が吸い込まれていく先は面前の勇者。

 気づいた時にはもう遅い。世界は魔王を打倒する為に彼を生んだのだ。魔王に対してのカウンターとしての勇者。その魔力量は勇者自身の体に魔王を封印するに足る。

 体の崩壊を続けながら負けを悟る魔王。荒い息を吐きながら、その一部始終を残る3人はただ見ている事しかできなかった。

 そうして、魔王は消えた。終わってみれば何ともあっさりとした幕切れ。勇者は体の中に何かあるな、という程度の違和感だけを感じながら、戦いは幕を閉じたのだった。

 魔王の城を後にし、王国へ戻った彼ら4人に待ち受けていたのは、今まで誰も手にした事がないような称賛の嵐、金銀財宝の褒美、食べ切れないほどの豪華な料理だった。勇者を除く3人は遠慮したものの、世界を守ってくれた4人を、国王を含め、皆が称賛し、国を挙げた宴は2日も続いた。無論、魔王を倒しただけでは魔物達全てが消える訳ではない。それでも、世界にまた平和が戻った事を国中の人々が喜んでいた。

 宴から半年が経ったある日、王国を一周するように囲んだ城壁、その少し離れた所にポツンと建った屋敷に1人の男が訪ねてきた。

 あの魔王を倒した4人の内の1人、王国の騎士団長ガイルだった。

 ドアをノックすると少し慌てた様子のメイドの姿をした女性が応対する。

「あぁ、ガイル様お待ちしておりました。」

「おぉメイリアか、久しぶりだな。あいつの様子は?」

 メイリアと呼ばれたメイドは彼を家に上げながら答える。

「はい、それが今朝から二階のご自身の部屋から出てこなくて…」

 2人は屋敷を進み、二階へと上がっていく。そして、勇者がいると思われる部屋の前へと辿り着くと、ガイルは部屋のドアを叩いて、中に入る。

 そこには、少しだけやつれた、ついこの前まで一緒に冒険をしていた同志だった。

「何だよ、思ったより元気そうじゃねぇか。心配して飛んできて損したぜ。」

「いや悪いな、突然呼んだりして。どうやら中で暴れてるみたいでさ。」

 暴れている、というのはこいつの中にいる魔王なのだろう、と皆まで言われなくてもガイルには予想がついた。

 実を言うと、魔王を勇者の体に封印している事実は国王も含め、王国の人々には秘密にしていたのだ。パーティの1人、魔道士のベイリーンは魔王の封印直後、勇者の魔力の変化等を見ていたのだが、弱っていた魔王、そして生まれつきの並外れた勇者の魔力量等を鑑みて、このまま勇者の体の中で魔王の力は干からびて消滅していくだろうという見立てだったからだ。

 だが、どうやらここに来てその見立てが外れたようだった。勇者の体の中の魔王の力は日毎に強くなっているようなのだ。

「それで、何で俺なんだ?そういう分析ならベイリーンのやつを呼んだ方が良かったんじゃないか?」

「いや、ちょっと肩を貸して欲しいんだよ。この屋敷、地下室があるんだ。そこまで頼むよ」

 相変わらず世界を救った者とは思えないほどの気さくさで語りかけてくる彼に、何も言わずにガイルは肩を貸した。

 そうして3人で一緒に屋敷を降りていくと、確かに大きな地下室があった。中に入ると勇者は、あとは1人にさせてくれ、と2人を地下室から出し、地下室のドアを閉めた。

 一体何が始まるのかと2人が考えていると、暫くして、ドアの隙間から眩しい光と共に爆音がする。驚いたのも束の間、すぐにドアを開けて2人が中を見てみると、地下室は煙でいっぱいになっていた。

 煙が晴れてきて、ようやく中の様子が分かるようになると、そこには、顔を上げて疲れ切った顔で床に座っている勇者の他に、さっきまで地下室の中にはなかったものが見えた。

 初め、ガイルとメイリアには、勇者の足元に7つの塊が見えた。だが煙が晴れてくるとそれは、7人の(見た目には)人間の赤ん坊のようだった。

「おい、お前、、これ…⁉︎」

 唖然とするガイル、驚いて声も出ないメイリアをよそに勇者は言う。

「元気な男の子4人、女の子3人です…なんちゃって。」

 7人の新たな魔王の誕生であった。

正直に言うと、自分が好きな物をとことん入れて書きたいだけです。文章や設定が稚拙で申し訳ないです。

この後の方が個人的に色々書きたい所ではあるので、気に入って、気になって頂けたら嬉しいです。

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