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31話「遠くの敵の殲滅」

しおりを挟んでくれた方に感謝を。読んで下さっている方にも感謝を。



 街と街を結ぶ街道は出来るだけ安全なルートを選んで作られてる。

 勿論、完全に危なく無いと言ったらそれは違う。

 この世界は元の世界と違って、モンスターは出現しるし盗賊の類も出る。

 街を結ぶ街道は普通の道に比べて幾らかマシと言った所だ。


 何が言いたいか?と言うと。



「ツカサ君、敵反応はある?」


「……今の所、こっちに気付かれる距離にはいない」


「そっか。なら安心だね」



 周りに聞こえないように、コソコソと会話をする俺と柳瀬さん。

 俺と柳瀬さんは今、シジュマさんが考えた配置通りの場所で周囲を警戒していた。

 クレーミヤを出発してから約一時間、二番目の馬車の荷台に乗っているが、護衛らしい仕事は一切起こっていない。


 これでいいのか?と思うが、護衛依頼はただついて行くだけの方が平和で良い。

 「もし何かあっても護衛が何とかしてくれる」その安心感の為に商人たちはお金を出している訳で、護衛依頼中に護衛が必要になる事が起こらなくても、報酬金はちゃんと貰える。

 だからと言って、護衛が必要になる事が起こらないからと言ってダラけていればいいて訳じゃない。

 護衛が必要になる事が起こらない為にも、常に警戒を怠らないのが護衛の役割。



 って待て、周囲の警戒そのものが護衛の仕事だよな!?

 だったら、何か起こらなくても警戒を怠足らないのが護衛依頼の仕事ってことか。

 よく考えたら簡単に分かることだったな。






「ツカサ君、そろそろお願い」


「ん?もうそんなに経ったのか?」


「本に集中し過ぎだよ!依頼なんだから禁止だよ」


「………分かった」



 幾ら警戒を怠足らないのが仕事だと言っても、人の集中力には限界がある。

 俺と柳瀬さんは交代交代に周囲を警戒することにしていた。

 柳瀬さんの番の間、本を読んで時間が過ぎるのを待っていると、いつの間にか俺の番が来ていたみたで、柳瀬さんに怒られる。

 今のは俺に非があったと分かっているので、素直に本をアイテムボックスにしまう。

 その後、ただひたすらにマップと視界内にある風景を眺める作業に入る。



「暇だね」


「……ん」



 やることがないらしい柳瀬さんが俺に声をかけてくれるが、マップを眺めていた俺は生返事で返す。



 暇だ。

 赤点がまるで映らない。

 街道はモンスター避けの魔法か道具が使われているとか、書いてあったけ?

 いや、そんな都合の良い物なんか、辺境の街道に使うはずないか。

 ゲームとかの、初期はスポーン率が低く設定されてるのと同じ原理なんだろう。

 まぁ、この世界はゲームなんかじゃないから、油断は禁物なんだけどな。



 そう思ったからだろうか、マップに赤点が表示された。

 俺は何時も通り、柳瀬さんに伝える。



「敵の反応あり、数は三」


「どうするの?」


「こっちに向かって来ているから、シジュマさんに伝えて」


「分かった。ツカサ君は?」


「狙い撃ってみる」



 今回は他の冒険者パーティーと合同依頼であることを理解して、柳瀬さんに伝令を頼む。

 シジュマさんなのはこの依頼のリーダーだからだ。

 柳瀬さんは俺の指示を受けると、荷台を降りて集団の最前列に向かう。

 馬車は高速で動いている訳ではないが、それでも自転車と同じくらいの速度がでている。

 先頭に追い付くだけでも一苦労だけど、流石陸上部のエース、柳瀬さんは難無く先頭に辿り着く。

 俺はそれを横目で確認をしながら、モンスターに向かって撃つ魔法をイメージする。



 敵が解らない以上、属性魔法は危険がある。

 ならば、無属性の初級魔法『衝撃』にするべきか。

 敵は遠くにぼんやりと見える位遠いが、飛距離を上げる為に圧縮したら問題ないはず。

 マップ機能で接近が気付き、肉眼でも分からないほどでもないが、狙撃は無理がある。

 だから、避ける隙も与えない程の弾幕を創る。

 それをイメージ……………撃つ!



 魔法を発動すると同時にヒュンッ!と音を立てて『衝撃』が飛んでいく。

 魔法を放ち続けること三十秒ほど経つと、俺には認識出来なかったがマップの赤点は全滅したのか、見えなくなる。



 弾幕を作るほど乱射したかいがあったな。

 今ので魔力がまあまあ削れてしまったが、危険になる前に討伐できたのは良かった。

 しかし、魔力を無駄に使ってしまったのは事実、遠くを見れるような魔法とかないかな?



 今までの経験上、魔力と明確なイメージがあれば魔法は発動できると俺は思っている。

 が、専門書や魔導書を幾つか買って読んでみたが、そんな情報は一切なかった。

 俺にとって魔法とは論理的では無く、不思議な力と考えているのは、元の世界には魔法がなかったからだと思う。

 でもこの世界にとって魔法とは、魔力と適正があって呪文を演唱しないと発動できないもの、そう言われている。

 魔法についてはまだまだ分かっていない事が多い、専門家が研究を続けているらしいが、俺の様に魔法を発動したこはない。

 俺が読んだ『これが魔法~我々の研究成果~』にはそう書いてあった。

 まぁ、ウン臭そうだったし、まだまだ分かっていなことが有ってもおかしくはないだろう。

 俺の魔法発動もそう言った類だ、と思いたい。




「こっちか!…ぬ、モンスターの影も形もないが一体どこにいる?」


「ツカサ君連れて来た、よ?」



 俺がモンスターを倒して?から少し考えていると、柳瀬さんがシジュマさんを引き連れてやって来る。

 考え事に夢中になっていた為か、馬車が止まっている事にようやく気付く。

 柳瀬さんに頼んだのは「モンスターがこっちに向かって来ている」と言う報告だけ。

 シジュマさんは俺がモンスターを見つけただけだと勘違いしている。

 俺がモンスターに攻撃をする準備をしていると思ったシジュマさんは、モンスターに向かって攻撃準備をするどころか、ただぼんやりと考え事に浸っている俺を見つけて、少し顔を顰めた。

 その後ろで柳瀬さんが、申し訳なさそうな目で俺を見ている。

 そして俺は気が付いた。



 あれ?

 シジュマさんだけじゃなくて、全員集合していないか。



 話を聞くと、俺の魔法が発動した音に気が付いて集まって来たらしい。

 いきなり戦闘音が聞こえたら警戒しながら集合するのは護衛として当然だよな、と思った俺はこの状況をどう説明しようかと頭を悩ませる。



 肉眼ではぼんやりとしか分からない位置にいたモンスターを狙って魔法を撃った、と説明するべきか?

 でもそれだと、見えただけなのにどうしてモンスターだと気が付いた?となる。

 そうなると、マップ機能を話さないといけない。

 マップ機能は………俺だけが使えるゲームのような視点の副産物であるが為、他人に教えるのは良しと言えないぞ。

 どうする?

 遠くを見れるアイテムでもあったら……………。



 そうやって説明を考えている時だった。



「お前ら、各自の持ち場に戻れ。ここにモンスターが居ない以上、戦闘があったか?なんてどうでもいい。そうこうしているうちに、他の場所から襲撃されたら元も子もない。分かったか!?」



 シジュマさんがリーダーらしくこの場を納めて、他の全員を持ち場に戻る様に指示した。

 イリとクッチさんが指示に従って素直に、エスタさんとオングが渋々と言った表情で、それぞれ持ち場に戻る中、ライカさんがだけが残っている。

 ライカさんはねっとりとした目で俺を観察した後、シジュマさんに話しかけた。



「ねぇシジュマ。私、この子を尋問したんだけど?」


「言い方を変えろ、質問だろ」



 突然、怖い単語を言い放たライカさんに柳瀬さんは怯え、俺の背中に隠れてくる。

 背中に隠れて俺の服をギュッと掴んで来る柳瀬さんに、俺の心臓はバクバクと大波を打っていた。



 か、隠れるのは良いが、服を握り締めるのは止めてもらえませんかねえ。

 後、ライカさんも俺をそんな目で見ないでください。

 俺はなじられて喜ぶような変態ではないので。



 俺は、この状況を早くどうにかしてくれ!とシジュマさんを見るのだった。



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