時間は命
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あぁ、そこのお主。
...
...そこのお主だよ、お主。...少し愚痴を言わせてくれんか...?
...ありがとう。
...最近の若い者は遅刻を良くしているそうじゃないか。君はどうだね?
...そうか、してないか。それは良かった...
...遅刻というものは単に遅刻した本人が一秒損する、という訳じゃないのじゃよ。
何故かって?...当たり前ではないか。
...分かっておらんようじゃな。
分かった、例を挙げてみるとしよう。
...例えば君が鉄道の運転士だとしよう。楽しいぞ?
...まぁいい。
...君は前日少し夜更かしをしてしまい、寝惚けて到着予定時刻を1秒遅れたとしよう。
そう、たった1秒じゃ。
...お客様もそうじゃろう。
...しかし、それはお客様を1人と考えたときのみじゃ。
君が運転している車両が12編成だとしよう。
更に東京の朝のラッシュ時間じゃ。
さて、何百人乗っているじゃろうか。
...気付いたか?
そうじゃ。つまり君はお客様から合計で何百秒もの時間を...いや、命を奪ったんじゃ。
...怖いじゃろう?君が1秒遅れただけで何百秒ものお客様の命を奪ったんじゃからな。
鉄道だけじゃない。
例えば学校で授業中に叱られたとしよう。
長く叱るものも居れば、短く叱る者も居る。
しかしそれも、他の生徒からその叱られた時間分、命を奪っているんじゃ。
だから、教師や目上の人は叱るんじゃ。
もう命を奪って欲しくないから...
わしはそう校長先生から教わってきたよ...
...良いかい?これからも遅刻するんじゃないよ?
もししてしまったら、例え1秒でも関わった人の人数分命を奪ってしまっている、という事じゃからな...
...ありがとう。こんなわしの話を聞いてくれて。