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短編集

心の示すカタチ

作者: ナオクール


この物語の主人公

春野マコトは23歳

印刷会社で外回りする営業マン

ちなみにイケメンだが彼女ナシ


ある日

行き慣れた得意先へ訪問した時のこと

納品先の受入れ担当である

赤城(アカギ)さんという女性に

いつも通り納品書にハンコをもらい

世間話しをしていた

そこへ経理の中井サヤカが来た

彼女もマコトと同じ23歳

「あっ!春野くん

ちょうど良かった。」


何かやらかしてしまったのか?と

マコトが不思議そうな顔をしていると

赤城さんが

「どうしたの?」と質問した

サヤカは伝票の不備に気付き

赤城さんに伝えようとしたところ

記入不備はマコトの会社の物だった

「手書きで直して構わないから

春野くんやってくれない?」

マコトの会社では最近パソコンの

入れ替えをしたばかり

納品書のフォーマットを作り変えたが

全合計の金額が余白の下へ陥落していた

確かに金額合計を手書きで構わないなら

お安い御用だと思い、社に電話を入れ

間違いを指摘した後作業を始めた。

月半ばまで納品してしまったため

月初からの全てを計算し手書きで記入した後

訂正としての春野の判子を押す

ただ、それだけの作業。


赤城さんは納品された品物を持ち

「中井さん、ちょっとここ任せるわ」

と言い居なくなってしまった。

するとサヤカは唐突に質問した

「春野くんは、私に興味ないもんね?」

まさかの質問に動揺したのかマコトは

「はいぃぃ?」と

聞き返したつもりだった。

だがサヤカは

「ヒドい。即答だよね!」

マコトはパニックになった

一体、この人はどんなつもりなんだ

仕事の話かと思ったら・・・


すると赤城さんが戻って来て

サヤカが擦り寄ると

「アカギさぁん 春野くんヒドいんですぅ」

マコトは更にパニックになり

「えっ?はいっ?なんですか?」

赤城は鬼の形相になりマコトを睨んでいる

「サヤカちゃんに何したの?

これだから男は信用ならないのよ!」

完全なる誤解だ。


サヤカは

「違うんです。

私に興味ないもんね?って聞いたら

即答で はいって言われたんですぅ」

一応、誤解は解いてくれたんだね

赤城はホッとしながらも

「若い2人で勝手にやってよ」と

蚊帳の外に置かれたような気持ちで

怒った感情は残っていたようだった。


マコトは取り繕うかの様に

「違うんです。即答って言うか聞き返したんです。つい口癖みたいな・・・はい?って」

サヤカはつい笑った

「なんでそんなに焦るの?」

マコトはキョトンとした

「えっ?だって・・・」

訳が分からず言葉が出なかった。


積極的な性格なのかサヤカは

赤城が居るにも関わらず休みの予定を聞いた

「春野くん 今度出かけよっか?」

マコトは心底驚いた。

「あっ・・・はぁ・・・え?

えぇぇぇ!!」

サヤカは更に言った

「やっぱり嫌だよね?」

マコトは仕事中で赤城の前ということもあり

何とも言えない表情で返事すら出来ずにいた


すると赤城は

「もう終わったらさっさと出て行って」

マコトとサヤカを部屋から追い出した。

いきなりの誘いに戸惑ったが

マコトはサヤカに恋人の有無を確認する

「あの・・・彼氏とか居ないんですか?」

サヤカは少し大人だった

「そういうのは聞かないの!」

そう言って頬をプクッとした

可愛らしい仕草だった

思わずマコトは目を反らし

「日曜とかなら休みですけど・・・」

そう言うとサヤカは即答で

「なら、週末、家に迎えに来て」

電話番号の書いてある小さなメモを

マコトに握らせると部署へと戻って行った。




週末、マコトは目覚ましをかけておらず

携帯の着信音で目が覚めた。

「はい・・・もしもし」

「ねぇ、いつになったら迎えに来るの?」

サヤカは怒っていた。

「えっと・・・ゴメンなさい」

マコトは慌てて身支度すると

車でサヤカの元へ向かった。

行き先も決めておらず

マコトは近くのテーマパークを提案した

「水族館がいい!」

サヤカは決めていたのだろう

イルカショーも見られる水族館へ向かった。


ひと通り水族館を見て回りイルカショーが

始まる時間は屋外で少し肌寒かった。

マコトはそっと上着をかけた

「ありがと」

サヤカはその優しさが嬉しかった。

イルカが泳ぎ回る姿を見ているマコトの

横顔ばかり見ていた。


だが、マコトはそれに気付きながらも

反応を示さなかった。

マコトの心中といえば

いち営業マンと得意先の経理の人

この関係に何かあるとマズいよなぁ

そんなことばかり気になっていた。


すでにイルカショーも終わり

自分たち周辺の人は席を立ち出口へと

列を成している。

サヤカは一言だけマコトに聞いた

「面白かった?」

マコトはサヤカを見て答えた

「えぇ!面白かったですよ」


少しの沈黙の後

サヤカは寂しそうに言った

「やっぱり、それが答えなんだね」

マコトには理解出来なかった


閉館を迎えようとする館内を

2人は無言のまま歩き

いつの間にかマコトの車に着いていた。


「ねぇ、ちょっと」

サヤカは乗り込む前の助手席側から

手招きの仕草をすると

運転席側からマコトは歩み寄った

バッグの中身を探りお土産で買った

キーホルダーを渡しマコトにキスした。


マコトは何が起こったのか

分からなかった。

目を丸くし立ち竦んでいる。

「寒いから、早く帰ろう」

サヤカの言葉で我に返った



だが、キーホルダーは

思い出のまま・・・




あれから

サヤカは知らない人と結婚し

しばらくすると子供が生まれ

赤城の元へ子供と共に来訪した


マコトはそんなサヤカの後姿を見て以来

彼女には2度と会っていない。





真相が明らかにることは

ないのだろう

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