表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

企画参加作品

変わるもの変わらぬもの

作者: keikato

 夕方。

「たまにはデートでもするか」

 オレは妻を誘って散歩に出かけた。

 なんのことはない。ふたりして、家の近所を歩いてまわるだけのことである。

 ぶらぶらと歩き、帰りに児童公園に立ち寄った。

 妻が見まわして言う。

「公園って、案外と狭いのね」

「そういや、たしかに狭いな」

「見て、ジャングルジムもあんなに低いわ。昔はずいぶん高くて見えて、てっぺんまで登るのがこわかったものよ。小さくなるのね、年をとると……」

「そうだよなあ」

 ブランコもすべり台も、みんな昔と変わらないはずなのに、大人になるとそれらが小さくなって見えるようである。

「わあ、きれい!」

 妻が夕空を見て目を細める。

 太陽が山の端に落ちながら、たなびく雲を淡い紅色に染めていた。

 妻がシーソーの片方に腰をおろし、いつになくロマンチックなことを言う。

「夕日は、昔とちっとも変わらないわね」

「ああ」

 年を重ねると……。

 変わるもの、変わらないものがある。ただ美しいものは、いつまでも変わることはないのだ。

 オレもシーソーの一方に座った。

 シーソーが浮いて平行になる。

 それから……。

 妻の側が下がって地面に着いた。

 オレは斜めに浮き上がった状態で、なんとも座り心地が悪い。

「帰ろうか」

 オレは静かにシーソーから降りた。

「うん」

 変わりはてたものが、お相撲さんのごとき立派な尻を上げた。


挿絵(By みてみん)

黒森 冬炎 様 作成

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 変身企画から見に来ました。 ノスタルジックなお話ですね。数年前ですが幼い頃に住んでいた場所を訪れる機会があり、この場所はこんなに狭くて小さかったのかと驚いてました。 [一言] 最後の一文…
[一言] 拝読させていただきました。 この重みは共に過ごした日々の重みなのでしょう。
[一言] 良い話しだなぁ〜って思いながら読み進めてたのに、最後の最後で思わず作品にオイ! ってツッコミ入れてしまいました。 面白かったです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ