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ニャーロック・ニャームズのニャー冒険。  作者: NWニャトソン
ネコネコアザラシ事件
95/203

帽子を被る女

ニャースロー空港……猫のヒースロー空港。

 

ニャンボジェット……猫のジャンボジェット


ニャメール……猫の写メール

「……」


 私は安楽椅子に座り、ニャラケーで電話をするニャームズをみていた。


「……」


 ニャームズは目を半開きにし、口をムニムニさせながら黙って相手の話を聞いている。


「……」


 相手は誰だかわからぬが「ぶっころしてやる」だの「そこで待ってやがれ」などの物騒なことを叫んでいるようだ。

  

「わかった。お疲れ様。それじゃあね」


 ニャームズは電話を切った。


「お待たせニャトソン。それで? なんの話だったかな?」


「いいのかい? 電話の相手、大分怒っていたようだが……」


「構いやしないよ。ところで僕は明日からちょっと外国へゆくことになった」


「また随分突然だな? もう驚きやしないがね。電話の相手が原因かい?」


 ニャームズは引き出しからパイプを取り出し、瓶に入った乾燥タマネギを詰め、マッチで火をつけてスパスパと吸い出した。

 もう彼にタマネギを止めさせるのは諦めた。

 1日2~3度だ。

 許すとしよう。


「まあね」


「ふむ……それでこれは聞いた話なのだが……鰹が丘の東にショッピングモールがあるだろう?」


「あるね」


「そのモールの広場にね。紙袋を二つ持った女性が黙って立っているんだよ」


「それがどうしたというんだい?」


「うん。彼女は広場の中心で黙って空を見上げ、片方の紙袋から帽子を取り出しかぶるらしい。色は毎日違う。その後は何も買わずにモールを出る」


「ほう?」


「つまりだ。彼女は帽子を被るためだけにそこに毎日やってきているんだな」


「ふーん……それで?」


「それだけだよ。この話はニャンキチじいさんに聞いたんだ」


 ニャンキチじいさんは半ノラの人間好きな温厚な老猫だった。


「なるほどね。あのモールの近くには『ニャースロー空港』があったね。『ニャンボジェット機』で旅にでる前にその女性の行動の意味を謎解きしてあげようか?」 

    

「えっ? ということは……」


 毎度のことながら驚かされる。

 ニャームズは私の話を聞いただけでどうやら真相がわかったらしい。


「彼女があそこで帽子を被る理由がわかったのか? ここで説明してくれよ」  


「不確かなことは口にしたくない。ただヒントをあげよう」


「答えを教えろよ」


 じれっニャイ。


「焦るなニャトソン。つまり……恋だよ」  


「恋?」 


「そうさ。そんなことよりいいのかい? 今日の面会時間が終わっちまうぜ?」


「……いかん!」


 病院の面会時間に遅れたら我が息子コッコと我が妻ナタリーに会えぬ。

 私は身支度を素早く終え、シルクハットを被った。


「今日もたくさんニャメして君に見せてあげよう」


「……お腹一杯だよ」


 私は毎日赤ん坊の写真を大量に撮り、ニャームズに見せていた。

 ニャームズが外国にいくのはそれも原因だったかもしれない。

 いいさ。直接ニャメールでニャームズの携帯に送りつけてやる。


「それでは明日」 


「うん明日だ」


 私は獣医へと急いだ。





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