ブラックカリカリ
「イヤー! ハッハッハッ!腕が鳴りますなぁ!」
「……」
どうにもついていない。
ドーサツ本部に掛け合ったところ『窃盗』の部署の担当者はショカツだというのだ。
私の話を聞いたショカツは身を乗り出し、『是非とも私にお手伝いさせてください!』と頼んでもいないのに操作協力のため付いて来ることとなった。
「しかし人間たちの世界でも窃盗が多発しているのですな?」
おや? 含みのある言い方だな。
「『でも』? 最近は窃盗が多いので?」
「ええ。カラーニャングが」
「ああ……カラーニャング……」
カラーニャングとは猫版のカラーギャングである。
「犯人はマンボウ町を拠点とするカラーニャング……ブラックカリカリ……通称ブラカリの奴らに違いないと私はにらんでおるのですが奴らなかなか尻尾を見せません」
「なるほど……」
カラーニャングか……物騒になったものである。
「ニャームズ先生から送られてきたデータによると……このマンボウ町には結構な数の不良少年がいるようですな?」
「ええ」
私はスニャートフォンからニャームズに送って貰った『素行不良の少年』や『無職の若者』の見た。
「数にして百人近く……これは全部回るのは難しそうですね……」
「そうですな。それではニャトソンさん。二手に別れて調査といきましょう」
「いやいや……数百ですよ? データを見ながらじゃないと……」
私がそう言うとショカツは肉きゅうで自分の頭を叩いた。
「バカにしてもらっては困ります。ニャトソンさん。私もドーサツの幹部の一匹。一度みた物は忘れません。それでは私は西地区をみてくるとしましょう」
そう言うとショカツは走り去った……
「……」
この時私はにゃんとも言え ない気持ちになったものである。
「私ってもしかして……何の取り柄もないのか?」
ニャームズにフジン。イケにポー氏。ニャンダイチにケーブ……
どうしようもないと思っていたショカツでさえ、素晴らしい才能を持っている……
私は日々テレビを見てカリカリをむさぼる毎日……これでいいのか? こんなオスでは彼女は振り向きもしない。
私はなんとなくネコんだ。
「いいからカリよこせって言ってんだよ!」
「デヴィッド! もう来ないでって言ったでしょ!?」
「!?」
なんとなく寂しい気持ちになった私は彼女に会いたくなり、本屋を訪ねるとデヴィッドと呼ばれた大きな黒猫が彼女からカリカリの袋を奪おうとしていた。
「おっ……おい君! やめたまえ!」
私は勇気を出して飛び出した。
「にゃんだてめぇ!」
「ニャームズさん!」
「ニャームズ!? こいつが!?」
デヴィッドの顔色が変わった。
どうやらニャームズの名前にたじろんだらしい。
「デヴィッド! 謝りなさいよ! ニャームズさんが本気をだしたらあんたなんか一発なんだから!」
多分一発でのされるのは私だが、ここは役を演じるとしよう。
「そそそ……そうだ!」
「チッ!」
デヴィッドはきびすを返し、黒いスケートボードに乗った。
「いいか! またくるぜ! カリを用意してまってな! ニャームズさんよ……今日は準備不足とこいつに免じてひくけどよ……俺もブラカリのボスとしてプライドがある。次はないぜ? あばよ!」
器用なものである。
スケートボードに乗り、地面を蹴り、そのまま伏せの体制で走り去った。
「……った。大丈夫ですか? あのオスは誰です?」
小声で『怖かった』とつぶやいてしまったが、彼女に聞こえなかっだろうか?
「ニャームズさん……実は彼は……デヴィッドは……私の夫なんです……」
「にゃんですと!?」
頭の中が真っ白になった。彼女は猫妻だったのか……
「彼は働きもせず私におカリばかり求めて……別れたいのですが同意してくれなくて……」
動物の世界の結婚はお互いの了承のうえでし、離婚もまたしかりなのである。
「にゃんですと!?」
「えっ? なにがです?」
時間差でデヴィッドが『ブラカリのボス』であることに驚いた。




