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ニャーロック・ニャームズのニャー冒険。  作者: NWニャトソン
帆立町フォーチュン・テラー
52/203

ニャンダイチに捧げるブーメニャンフック

猫パンチ!


「ああ! これはいけない! 一匹でくるように手紙に書いたじゃないか!」


「ふざけるなよ。一匹で来いと言われてバカ正直に一匹て来る奴がいるか? ちょうどいい。みんなの見ている前でおまえの時代を終わらせてやる……決闘だ。私の『ブラジリニャン・柔術』はおまえの『ニャー術』を遙かに上回るぞ……」


「おや? 彼氏はなにか勘違いをしているぜ?」


 ニャームズは私に耳打ちした……それどころじゃないだろう。


「ニャルバロッサ君。誤解があるな。僕は争う気はない。君に話しがあるんだ。悪いことは言わないよ。みんなを帰しなさい。君に恥をかかせたくない」


「怖じ気づいているのか? 皆さん! 聴きましたか!? このような臆病者にニャー探偵がつとまるのでしょうか!?」


 ニャルバロッサは聴衆に語りかけた……ショカツはうんうんと力強く頷く。


「こうなったら仕方ないね」


 ニャームズはいそいそと芥子色のトレンチコートを脱いで私に渡した。


「しわにならないように頼むよ」


「ニャームズ……大丈夫なのか?」


 相手は脂ののりきったヤング・キャットである。


「ふふん。しっかり体で教えてやるさ。実は僕としても願ってもない展開なんだ。さあ来なさいニャルバロッサ君」


 ニャームズは二本足でしっかりと立ち、肉きゅうで手招きをした。


「引導を渡してやる……ニャームズ!」


 ニャームズに向かってこれまた二本足で走るニャルバロッサ……ここに鰹が丘の伝説に残る戦いの火蓋が切って落とされた。






「せいにゃ!」


「ぬっ!」


 ニャームズの猫耳に放たれるニャルバロッサの『ジャンピング・ニャーキック』……

 間一髪ニャームズはこれをかわした。


「ぬっ……まぐれは続かないぞ!」


「どうしたんだい? 気にしないでいい。本気でやりたまえ。まさかそれが本気とは言わないだろうね?」


「おのれ!」


 凄まじい速さのニャルバロッサの『ニャブ』……ニャームズはその全てをニャー術のディフェンステクニック『ウニャー・バック』でかわして見せた。


「てんでなっちゃいない……ニャブとはこう打つのだ!」


「ひにゃっ!」


 左のニャブがニャルバロッサの顔面にヒットした……ニャルバロッサは大きく仰け反る。 

 その瞬間ニャームズはニャルバロッサの腕に飛びつき『腕ひしぎニャー字固め』をきめた。


「ギニャアァァ!」


「おっとこれで終わったらつまらないね。ほら。君の全部出し切ってごらん?」


「……」


 ニャームズがロックを解いて立ち上がるとニャルバロッサも少し遅れて立ち上がった。


 顔色が悪い。


 目の焦点は定まらず、歯をカチカチと鳴らしている。

 ニャー字固めに入ったとき、ニャームズはあることをニャルバロッサに語りかけたのが原因なのだが、それは後で説明するとしよう。


「うわああああ!」


 ニャルバロッサは野球ボールを投げるように振りかぶり、フックを放った。

 

「これが……『ブーメニャン・フック』だぁ!」


「違うね! 彼のブーメニャンフックはそんなものじゃなかった! これが僕が知る本物の……ブーメニャンフックだっ!」


 フックとフックの打ち合い!

 勝ったのは……ニャームズだった。


「ふにゃあぁぁ!」


 まさにブーメニャン!


 ニャルバロッサはブーメランの軌道のようにニャームズの周りを一周し、地面に叩きつけられ、水切りの石のように何度も跳ねて100メートルほど先でようやく止まった。


 意識はもちろんない。


 静まり返る聴衆、ぽかんとするショカツ、「わんだふる!」と叫ぶケーブ……



「やっと間接的だが彼から一本取った。実に痛快だぜニャトソン」


 ニャームズはネコっと笑って私からコートを受け取り羽織った。



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