チャーリーからの手紙
「ん? 占い師か? どれ一つみてくれよ……」
「すみませんがウチは私が選んだお客さんしか占わないんですよ」
「……なんだそれ? わけわかんねぇ……ぶつぶつ……」
「……」
(きたか……)
占い師の男はある男に話しかけようとすると手紙を口にくわえた猫と目があった。
「なんだい? あっ……こら! 手紙を忘れていったぞ……まったく。なにっ!?」
手紙には『チャーリーへ』と書かれていた。
(いったい誰が? あの猫は?)
占い師の男……チャーリーは手紙を読み始めた。
「これは……これは……」
チャーリーの顔色がどんどん青ざめていく……
☆
次の日、ニャームズの住処の森の入口に置かれた『猫ポスト』に手紙が投函されていた。
ニャームズは手紙の返事をここに入れるようにとチャーリーに指示したらしい。
以下はその内容である。
☆
『ニャームズ様へ』
ええ。あなたを信じて全て白状致します。
私はホタテ組の拳銃密輸人でした。
しかし、この国で『ブッキョー』なるものに出会い、私はこの世界から足を洗うことを決めました。
私の売った拳銃で人が傷つくのはもうごめんです。
しかしこの国のヤクザは裏切り者を許さない……私は彼らに狙われる立場となりました。
悔やまれるのはここで警察に駆け込まなかったことです。
私とて犯罪者……
ニャームズ様。私が捕まったら十年や二十年では出てこれぬでしょう。
ああ……私は臆病者でした。
ヤクザから逃げ回り、コソコソと生きていた私はある日、エイブス人の青年ニックと出会いました。
彼はとても働き者で素晴らしい人格の持ち主でした。
しかし彼のボスは傲慢で外国人である彼を『タダ同然でこき使える労働力』としか思っていませんでした。
同じエイブス人である彼の力になりたい……そう思った私はあるアイデアを思いつきました。
この国では一石二鳥……というのでしょうか?
彼の力となり、私も捕まらず、ホタテ組を潰すアイデアを……
そうです。
あなたが手紙に書いたとおりです。
私は『拳銃を持つヤクザの情報』を占い師を装いニックに授けました。
『私のことは決して警察に言うな』と念を押して……
しかし驚きました。
この国では『拳銃情報提供者には報酬金が支払われる』なんて……
拳銃を押収された組は潰れる。
ニックには報酬金が支払われる。
私は自由の身になる……
素晴らしいアイデアだと思いました。
私はこの方法でマットにも拳銃情報を提供しました。
だけど待てど暮らせどホタテ組が潰れたという情報は入らず……あなたからの手紙を受け取ったのは三人目のエイブス人に情報提供をしようとした時でした。
『この国の警察とヤクザを舐めてはいけない。ヤクザは組をつぶさせぬ為には下っ端なんてすぐに切り捨てる。警察と関わり合いのあるヤクザもいる。組だってそうだ。それに警察はニックとマットがヤクザとグルなのでは? と疑がっているだろう。下手をしたら彼らは逮捕される。そうなったら次は君だ』
……衝撃でした。
よかれと思ってやったことが私と彼らの首を絞めることになるなんて……
警察からもヤクザからも追われるなんて……私は耐えられません。
ニャームズ様。私はどうすればよいのでしょうか? 私の今の支えはあなたの『悪いようにはしないから僕を頼りなさい』というお言葉だけです。
どうかどうか私をお導きください。
ニャームズ様。連絡お待ちしております。
『チャーリーより』
☆
「いやはや信じられないな……」
「事件は案外身近に転がっているのさニャトソン」
私はチャーリーからの手紙をニャームズに訳してもらいながら読み切った。
「それで……彼らをどうするんだい? ニャームズ?」
「前にもいったろう? 僕の目に入ってしまったんだ。少しだけいい道に導いやるさ。望むのならね……おや! ようこそ! 手紙を読んでくれましたか!?」
「なんのつもりだニャームズ……」
ニャルバロッサとショカツ……そして大量のドーサツたちがやってきた。
次回ひさしぶりの猫パンチ回




