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ニャーロック・ニャームズのニャー冒険。  作者: NWニャトソン
フィレオフィッシュタウン・エンターティナーズ
41/203

ニャトソン失神

「それでですよ? 主人公の刑事はこう言うんですよ……って……」


「それは傑作だ!! 意味はわかりませんが」


 その日の夜、私たちはスミス氏が用意してくれたアニマルホテルのバーラウンジ……いや、ニャーラウンジでマタタビ酒を飲んでいた。


「いいニャモには及びませんが『ブラウン・サークル』は面白いドラマです……何より主人公に好感がもてう……アオアオアオ……」


「はっはっは……酔っぱらって呂律がまわってませんな……港まで夜風をあびにいきまふかぁ……」


「いいですな……うにゃ?」


 スニャホが鳴った。


『ニャトソン君かい? 駄目じゃないか勝手に行動を……スミスの言うことをききたまえ。今日の夜……この町は危険だ。特に港には絶対に近づくなよ? あぁそうそういい忘れていたが人間となにかトラブルになりそうな時は君が最近覚えた人語を叫びたまえ。きっと……』


「うるにゃい!」


 私はスニャホを肉きゅうで叩いて止めた。


「なんですか? 今のは?」


「にゃあに……ただのイタズラです。まったくアイツは……さて、港に行きますか……」


「えぇ」


 私たちはニャームズの忠告を聞かず、見張りのスミスの股下をくぐり抜けて港に向かった。








「いい風ニャー……って!!ん!?んんんん!?」


 港につくとステッキで闘う二人の男がいた。

一人には見覚えがある……あれはまさか!?


「シャッ……シャーロック・ホームズ!?」


 間違いない!!シャーロック・ホームズである!

シャーロック・ホームズが闘っているのである。


「もう片方は……モリアーティー教授だ!!」


 ポー氏も驚きの声をあげた。


「モリアーティー?」


「えぇ……シャーロック・ホームズのライバルです」


「で……でも、お話の世界の人物ですよね?」


「確かにそうです」


「それが何故……?」


「おのれ……まさか出来損ないの君にここまでやられるとはね……」


「それはあなたが出来損ない以下だからでしょう教授……」


「減らず口を……いいか?ニャリウッドは終わりだ。この地に世界でも有数のビック・マフィアたちがやってくる……」


「あなたが生み出したドラッグ……【マリス】を世界中に繁栄させるため? そうはいきませんよ。ここに彼らは来ない。彼らは僕が脚本をつとめた舞台に心底恐怖するからさ」


「訳のわからぬことを!!」


 ステッキによる高速の攻防……

二人の闘いは人知を超えたものだと私にもわかった。

「ニャトソンさん……これはスゴいですな……」


「えぇ……しかしホームズ氏が押されている……あっ!?」


「しまった!?」


 ホームズのステッキが弾かれ、地面に転がった。


「死にたまえっ!!」


 モリアーティーのステッキがホームズを襲う……


「あぶニャイ!!」


 私の脳裏にニャームズのあの言葉が浮かんだ……


(トラブルになったら君が最近覚えた人語を叫びたまえ……)


「すぅ……」


 そして人間語でこう叫んだ……



《警察を呼んだぞ!お前はもう終わりだ!!》



 思いがけずハッキリした人語が使えた。


【火事場の猫力】というやつである。







「なんと運のいいやつだ!!」


 モリアーティーはきびすを返し走り去った。


「ふぅ……おや?」


 シャーロック・ホームズと目があった。


「にゃ……」


「ニャトソン君かい!? やぁ助かったよ!! 実に久しぶりじゃあないか」


「……!?」


 シャーロック・ホームズがニャー語を話した!?


「あぁそうか……この姿で君に会うのは初めてか……僕だよニャトソン」


「ニャニャニャニャニャッ!?」


 シャーロック・ホームズの胸がパカリと開き、コクピットのような物が現れた。


そしてそこにいたのは……



「にゃっ……にゃっ……」


 私は衝撃をうけた。



「ニャームズ!!」


「やぁ今晩は。どうしたニャトソン。顔色が悪いぜ?」


 ニャーロック・ニャームズがそこにいた。


「あぁ……だめだ……」


 私はついに意識を失った。


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