【スニャホ】と【ニャラケー】
「ニャームズは何がしたいのだろうか……ジュルルルル!! まったく……ジュルルルル!!」
私とフジン、西根氏は謎の黒服の男たちにさらわれ、あれよあれよとチャンスの国【ニャリウッド】の【フィレオフィッシュタウン】にプライベートジェットで連れてこられた。
そして現在……フジンはビーチで『ほうら私をつかまえてごらん?』と言い、西根氏は『こいつぅ!!まぁーてー!』とか言いながらビーチを走っている。
……何が楽しいのやら。あそこらへんにだけ隕石が落ちればいいのに……
そんな私は紫外線を防ぐためニャングラスをかけ、ニャンモックに横たわりながらトロピカルドリンクを飲んでいた。
チャンスの国ニャリウッド……
ここには世界中からチャンスを求めてたくさんの人々や動物が集まる……とニャームズに聞いた。
しかしまったくニャームズはシャイなオスである。
おそらく黙って出ていったことを気にし、謝罪の意味を込めて我々をこの国に招待したのだろう。
……どう手をまわしたのかは分からないが……
本当にニャームズは得たいの知れないミステリニャスな猫である。
そんなことよりドリンク美味しい。ジュルルルル……
「スミマセー」
「ジュルルルル!! ジュルルルル!! ジュルルルル!!」
「ニャトソサ、スミマセーー」
「ジュルルルルルル!! うん!?」
私に近づいてきた黒服の男が猫の言葉……『ニャー語』を話した。
「……まさか」
人間にニャーニャーと話しかけられるのはしょっちゅうだが、我々にはただの『ニャーニャー』としか聞こえない。
しかしこの男はつたないながらも間違いなくニャー語を話したのである。
「ニャトソサーン。ワタシ【スミス】デスー。ニャームズサマー、カライワレテキマシター。アナタニーデンゴンアリマスー」
「そんな……あなたはニャー語を話せるのですか……?」
私は震える肉きゅうでニャングラスを外した。
「ノウノウ……ワタシヒアリング……キクコトウマクナーイ。シャベルダケデース。デンゴンアリマスー」
なるほど……。
言いたいことはわかったが、ビーチで猫に話しかける黒服の男は他の人にはどう映るのだろうか?
「ニャームズサマー。イマイソガシ、アエナイ。【スニャートフォン】トリツケマス。オッケーデスカ?」
「スニャートフォン? にゃにゃにゃ!?」
スミスは私の返事も聞かず私の首輪にスニャートフォンなるものを取り付けた。
「な……なんですかコレは? 四角い銀のシールのような……」
「ソレハ【スニャートフォン】!! リャクシテ【スニャホ】デス。ニャームズサマートオハナシカノー」
「スニャホ……これでニャームズと話せる? ご冗談をおっしゃられているのでしょう?」
「ニャームズサマーワ、オリタタミシキの【ニャラパゴスケイタイ】ツカイマス」
ふむふむ……ニャラパゴスケイタイか……長いな。【ニャラケー】でいいだろう。
つまり【スニャホ】と【ニャラケー】は何かしらの手段で会話が可能らしい。
しかし……【ニャームズサマー】?
なぜ私が【ニャトソサー】でニャームズが【ニャームズサマー】なのだ……
続く。