表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ニャーロック・ニャームズのニャー冒険。  作者: NWニャトソン
至宝のパピルス
31/203

本の部屋

「さぁピチュールさん」


「はい。ニャームズさん。あなたにすべてお話しします」


 ニャームズがネコッと笑うとピチュール氏は落ち着いたのかくちばしを開き喋りだした。

 ニャームズの笑顔は動物を落ち着かせ、信頼させる力があった。

 私のニャンマリとは大変な違いである。


「私のヒナの【ピーチュン】は病気でいつも震えていました。それで私は巣に拾ってきた紙を持ち帰り、ピーチュンに被せていたのですが……」


「パピルスですな?」


「パピルス?」


「えぇ……パピルスとはですね……」


 私はニャームズに教わった知識をドニャ顔で語りだした。


「……なるほど。そのパピルスを被せていたのですが症状はよくならず……そんなときドーサツの方から【奇跡の1ー5号室】のお話を聞きました」


「ほうほう」


「このまま放っておいたらピーチュンは死ぬ……私は一か八かドーサツの皆さんの力を借りて1ー5号室に巣ごと運んでいただきました」


「大胆なことを……それでどうなりました?」


「ニャームズさん。それが私がちょっと目をはなした隙に1ー5号室の扉は固く閉ざされ開かなくなってしまいました」


「あぁそれは大変だ……」

 私は取り残されたヒナを思い胸が痛んだ。


「もちろん私は急いで五階まで飛びました。そうしたら……5ー5号室には誰もいませんでした」


「えぇ!?」


「はぁ……」


 ニャームズは軽く相づちをうち、私はおおいに驚いた。


「私のなかには絶望と希望がありました。もうピーチュンは帰ってこないのでは? いや、もしかしたら本当に本の部屋で治療をうけているのではと……」


「お察しします。それでどうなりました?」


「それがニャームズさん!!驚かずに聞いてください!ピーチュンは病気を治し帰ってきました!! ピーチュンもまた地震のあと【本の部屋】で治療をうけたというのです!!」


「……」


 私は驚きで口を大きく開けたがニャームズはまったく驚いている風には見えなかった。


「あの……本当に驚かれないのですね?」


「えぇ」


 絶対に驚くという自信があったのだろう。ピチュールは少し面白くなさそうだった。


「期待されていたのなら失礼。しかし僕には事件の真相の7割から8割はもうわかってしまっているのです」


「「なんだですてっと!?」」


 私とケーブ、ピチュールの驚きの声が重なった。


「ニャームズ!! いい加減なことをいうな!! いくら君でもこんなホニャー話を聞いただけで理解できるわけないだろう!!」


 真面目な話を冗談で茶化すとはひどいやつだと思った。


「ニャトソン。言っただろう? 推理とは観察と知ることだと……いい加減なことは言ってないよ。……なら証拠を見せようか? ピチュールさん」


「はい?」


「今は1ー5号室も5ー5号室もテープが巻かれたり張り紙がはってあって立ち入り禁止になってるんじゃありませんか?」


 ピチュールは表情を失った。


「そ……そうです!! なぜそれが……?」


「まだそれを言う段階ではありません。さてニャトソン君」


「な……なんだ?」


 ニャームズは奥の部屋を肉きゅうでさした。


「正装に着替えたまえ。ニャー探偵の助手としてのね」


「……」


 タキシードにシルクハットに蝶ネクタイ……確かそれが私の正装だったはずだ。

 私は正直憂鬱だったがニャームズはそこは譲らぬことを知っていたので私はしぶしぶ従った。


「いいかい? おしっこは済ませておくんだぜ?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ