表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ニャーロック・ニャームズのニャー冒険。  作者: NWニャトソン
ヤング・ニャームズのニャー失態
21/203

マローニ・スターフィッシュ


「なっ……クソッ!」


 僕は言葉を失った。ショック……そして次にニャンダイチが僕の知らないことを知っているという怒りがわいた。


「だがね。二匹共正解ではない……よく聞きなさい。まずニャームズ。君の言うことはもっともだがオニヒトデは水分含量が多く燃やしにくい。それにいくら装備を整えてもオニヒトデの毒針から完全に身を守るのは不可能だろう。危険だ」


「はい……」


「そしてニャンダイチ。君の案も間違っている」


「まっ。そうでしょうね」


 ニャンダイチ君は相変わずのポーカーフェイス。

 若き日の僕は彼のこの表情が大嫌いだった。


「ホラ貝がオニヒトデを食べるスピードとオニヒトデが殖えるスピードが違いすぎる。結局オニヒトデは増え続けるだろうし、ホラ貝を大量に集めるというのは時間もコストもかかりすぎる。しかし頂点捕食者かと思われるオニヒトデの天敵。ホラ貝を使うというのは悪くない。ニャームズに1ポイント。ニャンダイチに2ポイントといったところだな」


「ありがとうございます」

「チッ……」


「さて……現段階での最善のオニヒトデ対処法は薬液注射だ……それも酢酸がいいだろう。一匹辺りのコストも数円ですむしな」


 読者諸君は「なぁんだ酢酸注射? 常識じゃないか」と思うかも知れないがこの当時は薬液注射でオニヒトデを駆除するという発想は人間たちにはなかった。

 さすがは我が師であるといったところである。


「そんな楽しい講義をしている内に【カンパチ島】まであと少しのようだ」


【カンパチ島】……多くのプロスポーツ選手と優秀な研究者を輩出する孤島である。


「さて……やはり【マローニ・スターフィッシュ】氏もこの島に用があるようだな」


 先生は長身の男に視線を移した。

 【マローニ・スターフィッシュ】……

 差別撲滅運動を世界中に広める【スターフィッシュ・カンパニー】のリーダーであり、ハンサムな大富豪。

 されど彼は傲ることのない人格者で誰に対しても別け隔てなく愛を振り撒き、差別を無くすために自ら世界中を旅をしている。


「【トップオブトップ】。【ミスターパーフェクト】。【誰にも嫌われない男】。彼のニックネームはどれも大したものだ。氏はこの島に何をしに来たのだろうか?」


「さぁ……」


 僕はマローニ氏を睨み付けた。


【マロ『オニ』・スターフィッシュ】

 スターフィッシュは英語でヒトデ……彼の名前がオニヒトデに似ていることからこの講義が始まったのだ。

『何が誰にも嫌われない男だ。君がいなければ僕はかかなくていい恥をかかずにすんだんだ。少なからず僕は君が嫌いだ』と僕は思ったね。


 言いがかり? 逆恨み?その通りだ。

 だがそれに気づかぬほど僕は若かった。若すぎたのだよモーガン。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ