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ニャーロック・ニャームズのニャー冒険。  作者: NWニャトソン
白魚と白子のダンス。
200/203

トラブリュー

 パトロールを終えたニャームズは夜遅くに帰ってきた。

「ただいま」

「おかえり」

 通りニャは捕まらなかったのだろう。

 ニャームズとは長い付き合いだ。

 表情でわかる。 なので私は何も訊かない事にした。

「お嬢様は?」

「少し騒いだがなんとか寝たよ」

「そうか。さあ明日に備えて僕たちも寝よう」



  



「まぁ凄い。乗り心地が素晴らしいですわね!」

 カロリーヌ嬢は初めて乗る犬車に興奮していた。

 昨晩はカシミヤのベッドでないと寝れないと騒いでいたが、元気なようで何より。

「ドーサツの訓練された超一流の犬車ですからね。ドッグシーとは比べ物になりません」

 何故か私が誇らしげにそう語ってしまった。

 犬車のケーブ。シベリアンハスキーの子犬、ダックスフントも誉められて悪い気はしないのか尻尾を振っているからまぁいいだろう。

「でもニャームズさん。本当にあの病院に行くのですか? 私、またあの事を思い出してパネッコになったら……」

「ご心配なく! あの琥珀色の薬の効果は24時間持つのです!」

「あら。それなら朝飲んだから安心ですわね」

 へぇ……あの薬はそんなに凄いのか。

 私もよくパネッコになるのに彼は一度も薬などくれたことはない。

 少しチェっとなった。

 そして私たちは彼女の案内で白子町の例の病院の近くまで来た。

「あっ……あの」

「んにゃ?」

 カロリーヌ嬢が少しだけ声をあげ、何か言いたそうだったのを察してか三台すべての犬車が停まった。

「どうしました?」

「あの……ちょっとマグロを釣りにいっても……?」

「あー。その角を曲がった所に草を集めて作った。ね、公衆トイレがあるのでそちらをお使いください」

「……」

 カロリーヌは頬を染め、一礼して走って角を曲がっていった。

 『マグロを釣りに』。

 おしっこに行きたいの隠語である。

 おしっこに行きたいならおしっこに行きたいと普通に言えばいいのにああおしっこ。

「キャーッ!」

「むっ?」

「なんだ!?」

 


「はぁ……はぁ。お尻の……お尻の匂いを嗅いでもいいかい?」

「こないでっ!」

 曲がり角を曲がるとビニール袋を頭から被った怪しげな黒猫がカロリーヌ嬢にジリジリと近づいていくところであった。

 通りニャだ!

「あいつ! とうとう調子にのって昼間にまで現れたな! 取っつかまえて……ニャームズさん?」

 ケーブたちが飛びかかろうとしたがニャームズがそれを肉きゅうで制した。

「ヒーロー役は彼らに譲りませんか?」

「ヒーロー? ……おお」




「な……なんだ? 君たちは?」

「おーおーおー。うちらのシマでうるわしーおぜうさんになーにしとんねん? われぇ? いてまうど?」

 柄の悪いねこたち数匹が通りニャに近づいていく。

 彼らはこの町の野良猫チーム『トラブリュー』のメンバーだ。

「もう駄目だわ……わたし」

 あれ? カロリーヌ嬢はなぜ怯えているのだろう? 彼らは…… 『自警団』なのに。

「この……変態野郎が!」

 んん? 『私によく似た声のヤング・キャット』が通りニャに飛びかかった。

「シャー!」

「ウニャー!」 

 見事なタックルからの放り投げ! 地面に叩きつけられた通りニャはあっという間にドーサツたちによって逮捕された。

「おみごと!」

 ニャームズとケーブが勇気あるヤング・キャットに拍手を贈った。

「えへへ……どもっす。……あれぇ?」

「……?」

 カロリーヌ嬢を見たヤング・キャットが目を丸くして彼女を見つめた。

 カロリーヌ嬢はまだ怯えている。

「あなた……病院の前でぶっ倒れていたお嬢さんじゃありませんか?」

「……あっ!」

 一体どういうことだろうか?


つづく。


 

 

 


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