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ニャーロック・ニャームズのニャー冒険。  作者: NWニャトソン
最後のプレイボール
173/203

フジイピョウタもビックリ。

「フガじいさんに手紙を届けたかい?」


「ああ」


私がフガじいさんに「痛みを感じなくなるほどの虫歯は大変危険だ」という手紙を渡し、帰ってくるとニャームズはパネコンで将棋ソフト相手と戦っていた。


「ふ……む?」


たしかこの年に名人位の棋士が初めて将棋ソフトに敗北したと記憶している。


コンピューターの少しの隙もミスもない攻めにさすがのニャームズも苦戦しているようだ。


彼はチェスは得意だが、将棋はそうでもないのだろう。


マウスを肉きゅうで叩き、イライラしているようにみえる。

これはかなり珍しいことだ。


君子危うきにイカなます。


私はナタリーに内緒で通販で買った《倒れるだけで腹筋ワンニャーコア》をすることにした。


箱にはムキムキの犬の写真。


「太った醜いワンコにニャンコ! 君たちもこうなりたいだろう?」という吹き出しがついている。


うーん、見事なまでにシックスドッグに割れた腹筋だ。


ようし。


私もやるぞ!


開封。


まず倒れて機械の力で起き上がる……ニャっ!?


「ん?」


ドンガラガッニャン! ガシャーン!


「……君は何をしているんだ?」


「おぅ……これは痛い」


倒れこんだはいいが、反動が凄すぎて吹っ飛ばされた。


空中で三回転はしたぞ。


でも腹筋は鍛えられた気がする。


続ければきっと私のたるんだお腹もシックスドッグに割れるだろう。


これは余談だが、このせいで後に猫ヘルニアになったと思う。


「さっきの話……暇潰しに聞かせてくれないか?」


ニャームズはソルティードックを飲みながらそう言った。


「さっきの……?」


「マナブだよ」


「……ああ」


天才猫ガリレオことマナブの解決できなかった謎の話か。


ニャんだっけ? わりと頭も強打したのでグワングワンする。


「しかし君は対局中だ」


「同時進行なんてわけないよ」


強がりを……負けそうなくせに。


私を言い訳に使うつもりか?


一度その湿った鼻をへし折られればいい。


「ああ……そういえばこの話もドン・ネコーテが舞台だ」


「激安の殿堂のスーパーが舞台か…賑やかそうだね」


「いやいやいや……そうではないんだ。正確にはドン・ネコーテ……長いな。ドンコができるずっと前の話だ」


「ドンコができる前……なんだったかな?……月極駐車場?大型本屋……あとは……」


これまた珍しいことだ。


いつでも最速で脳から記憶データを引きだすニャームズが。


私は彼の脳も年を取ることで衰えるのだなぁとしみじみとした。


「空き地だったんだよニャームズ。そのあとは公園」


「……へぇ」


……へぇって。


切れが悪い。


私はさすがに心配になってきた。


「しっかりしろよニャームズ。いまの君は少し変だ。調子が悪いんじゃないのかい? 休んだ方がいい。君の灰色の脳細胞もきっと休みが必要なんだ。この話は後日……きいてるのか?」


また将棋をしている。


マウスをカチカチカチカチ……。


しかしよくマウスなんて使えるな。


機械とはいえネズミだぞ? 私はマウスを使おうとするといまだにベーンとひっぱたきたくなる。


「なんだって? それじゃあ続きを話してくれ」


「……だから」


パソコンの画面を見る……《マイリマシタ。アナタノカチデス》。


「……勝ったのか?」


「うむ。十三手は前に僕の勝利は間違いないものになっていたのだが、このソフトは案外往生際が悪くて僕としたことが少しイラついた。で? 灰色の脳細胞がどうとか言ってたが?」


「……続きをはなそう」


やはりこのオスの知能は私なんかでは計り知れない……。


「将棋ソフトも悪くないが少々薄味だった。その謎は僕の灰色の脳細胞を少しは刺激してくれるのかな?」








つづく。





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