表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ニャーロック・ニャームズのニャー冒険。  作者: NWニャトソン
ミケ墓村。
162/203

トムとニャトソン?

「あんたらもさぁ~暇だかなんだかわかんねけど平和な村荒らしてよ。迷惑なんだよねぇ。はやくででっでほしいよ」


「……すみません」


「この罰当たりども!愚か者!バカたれが!」


「……」


ピエールとジョニデの事件は瞬く間にミケ墓村に伝わり、私たちは朝までダスキンや多くの村猫たちに囲まれ説教をされた。


「ポチ武者様を怒らすからだ!」


村のドーサツの巡査も調書を取る間ずっとネチネチと私たちを責め立てた。


「ミケ様、ポチ武者様が怒って村に災害が起きたらどー責任とるだよ!?田子作の悲劇の二の舞だぁ!」


確かに彼らの聖域を汚したのかもしれないがこれはやりすぎだろう。

メス猫は泣いているし、オスの顔色も土色になり始めている。


「それにあんたの名前……ニャトソン?作家みたいな名前しやがって!偽名じゃねぇだろな!?こちとらプロだ!調べりゃわかんだぞ!オオッ!?」


ニャトソン


という私の名前を聞いたとたん学生たちとテレビクルー、村猫たちもがざわついた。

そういえば私は彼らに名乗ってもいなかったな。


(本物の作家のニャトソン先生?)


(んなわけないよ。あんなポッチャリ)


(……だよね。イメージと違うし)


(紛らわしいわ!ボケッ!)


……聞こえているぞ。

村猫だけでなく、お前たちまで敵になったら私は誰を頼ればよいのだ?






「……帰れ」


「よそもんが……」


「……」


翌朝、村猫たちの態度は一変した。

我々は村を潤す観光客から災いをもたらす厄介な余所者に降格されたようだ。


村を歩く私とすれ違う村猫たちは皆私に冷たい言葉を投げ掛ける。

私以外の猫たちは宿の一室に詰め込まれガタガタ震えている。

無理もない。

一歩村を出ればこんなだし、ロープウェイが直ればすぐに我々は追い出されるのだろう。

それならまだいいが、この村猫たちの爛々とした目を見ていると崖から突き落とされる可能性も否定できない。

しかし私は調査にでた。

私だってニャー探偵の端くれなのだ。

すっかりニャームズに毒された私は好奇心に勝てなかったのだ。


だが彼らは本当に怒っている。


ミケ……宝……ポチ武者……本当にいるのか?


思考がまとまらない。


調査と言ってもまず何をすれば……?


ああ……頭がクラクラする。


一睡もしていないからな。


ランナーズハイとはまた違うが疲れすぎて逆に気持ちいいような錯覚に陥った。


村猫の空気は悪いが山奥だけあって空気はうまい。

ヒゲを撫でる風が気持ちがいい。

私は寝不足解消が第一と考え、どこかで昼寝をしようと村をさまよった。



「ん~……」


ん~……


「ん~……ん!?」


いつの間にか私はロープウェイのなくなった崖に来ていたようだ。


「やばい!」


そして今……私の足元に道はない。

崖っぷちの先……宙にいる。


アメリカのアニメでこんなシーンがよくあった……


しばらくジタバタして一気に落下するのだ。


「……死んだ」


死ぬときとは案外こんなもんかもしれない。

ボーッと歩いてたら崖から落ちて死ぬなんてある意味私らしい。


私が肉きゅうで十字架を切った瞬間私は真っ逆さまに落下……



しなかった。



「やあニャトソン。ずいぶん酔ってるじゃないか」


「ニャームズ!」


私はニャームズの操縦するヘネコプターの座席に腰掛けていた。


落下の瞬間ニャームズが間一髪助けてくれたようだ。


相変わらずやることが憎い!このオスは!


どこかで出番待ちをしていたんじゃないかというぐらいこれ以上ないカッコイいタイミングで現れる。


「別に酔ってる訳じゃ……」


「いいや酔ってるね。とりあえず寝たまえ。君のその顔!推理する必要もなくなにか大事件があったとわかるね!ゆっくりと寝たら僕に説明してくれるだろうね?」


「……うん」


そう言われて私は本当にすぐ寝てしまった。

先ほどまで死ぬと思っていたのに。


私も図太くなったものだ。


ニャームズから言わせれば『鈍い』だけらしいが。





ジャンル再編成されましたね。

良き方に転がりますよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ