イケVSホワイトタイガー
私とニャーバンとイケの秘密の生活は数日間に及んだ。
……とは言ってもニャーバンは若者らしく飽きっぽく、すぐにフラフラとどこかにいってしまう癖があったので実質二匹だ。
もちろんニャームズとは冷戦状態でほぼ会話もなし。
……それでも順調に進んでいると思われた私たちの共同生活は子供たちの悲鳴によって終わりを迎えた。
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(うわあぁぁん!! こわいよー!!)
(助けてぇ!!)
「な……なんだ!?」
「うが!?」
この日は私とイケ、ニャーバンとで昼食を一緒にとる約束をしており銀だら山に集まっていた。
「悲鳴……? キャンプ場の方からだ。いったい何が起きた?」
「イケ日本語少しわかる!ヘルプ言った! 子供危ない! イケはいくぞ!」
イケは四つん這いになり、前を見据えた。
「イケ! まさかいく気か!? 待つんだ!! 人間の前に姿を現したら君は……」
「うがががが!!」
凄まじいスピード……イケは熱風を残し、キャンプ場へと走った。
「馬鹿! イケ! 君は死ぬのが恐くないのか!? ニャーバンは……くそ!! またフラフラと……役に立たない!! だから君はゆとりキャッツなのだ!!」
私は恐怖に耐え、イケの後を追った。
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「い……け?」
キャンプ場にたどり着くと荒々しく息を吐く巨大な白い猫と筋骨隆々とした半裸の黒人が向かい合っていた。
黒人の足下には猫耳のついた白い毛皮……私はニャにがニャんだかわからなかった。
「チッ!!どうやら間に合わなかったようだね!! 子供たちが危ない!」
いつの間にか私のとなりにはニャーバン……いや。
「君は……ニャームズか!?」
「しまった! 走っているうちにターバンがずれたか……」
ずれたターバンから覗く鋭い眼光はまさにニャームズのものであった。
「ニャームズ!? なぜ君がここに!? イケは……」
「説明は後だ!! む!? ホワイトタイガーが仕掛けた! イケ君!! 避けたまえ!」
白い猫……【ホワイトタイガー】が黒人……【イケ】に襲いかかった!