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ニャーロック・ニャームズのニャー冒険。  作者: NWニャトソン
まだらの紐。
150/203

ホテルニャーオータニ

ホテルニャーオータニ……猫のホテルニューオータニ


猫た川賞……猫の芥川賞。



猫又吉・アニャベ……二匹で『ニャース』




「あれ?」


 監視ルームの電気が消えた。

 私は慌てて懐中電灯とランプを照らした。

 予備電源が落とされた……?

 ニャトソンか猫極がやったのか?

 楽しませてくれる。


 館の床板と裏庭のエレベーターはカラクリ仕掛けだ。

 閉じ込められることはない。


 いざとなったら島田君の住みかである動物園の方に避難すればいい。


 我々は酒をたしなみながら今回のゲームについて語り合った。


「ニャトソン君用の死骸人形と猫極君用の死骸人形は無駄になってしまったなぁ。勿体ない……ん?」


 誰かの気配がしたような……?


 気のせいか?







 予備電源が戻った。


 おや? 二階だけ監視カメラの映像が映らない……なんだろう?



「島田君」


「パオ?」


「いってきてくれたまえ」


「パオ」


「そうだ。これをつけていくといい。ジャンク品だから期待はできないが……」


 島田君の鼻にライト付きのカメラを取り付けた。







 島田君の鼻につけたカメラにはニャトソンが映っている。

 ほおー! 優勝者はニャトソンか?


「あっ!?」


「なにがおきたっぺ!?」


 カメラの映像が途切れた。







 島田君は鼻を痛め、泣きながら帰ってきた。


「……ひどいパオ」


 象である島田君すらもノックアウトするとは……

 抜群の推理力に恐るべき武力……

 ニャトソン……北方ワンぞう賞はこのオス以外考えられない。

 彼の作品にでてくる『ニャームズ』とはやはり彼自身なのだろう。



しばらくすると……







「北方先生! 皆さん! ここを開けてください!」



 というニャトソンの声が聞こえた。


 優勝者がやってきたようだ。


 扉を開けた。


 そこには猫極と……ニャトソン……


  いや、『ニャーロック・ニャームズ』がいた。



 北方ワンぞう。



独白 

 


幕。








……



 北方ワンぞう氏の悪趣味なゲームから数ヶ月……。


 私は『ホテルニャーオータニ』に正装して来ていた。


 大勢の報道陣に著名人。


 今日はいよいよアニマル文学賞の授賞式だ。


……緊張する。


「でしでしーでしー♪」


「こら! コッコ! 遊ばないの! 今日はお父さんの晴れの日なのよ!」


「ナタリー……それはまだわからないよ」


 今日はコッコとナタリーがいるだけ少しマシか……


「……」


「……」


 濡れてないのにずぶ濡れにみえる猫がジッと私を見ていた。

……なんだよ?


『猫た川賞! 『猫又吉』先生の『人花ヒバナ』!』


 ずぶ濡れ猫が壇上に上がっていった。


 そうか……彼がコメディニャン作家の猫又吉か……

 相方のアニャベも嬉しそうだ。


 それにしても、北方ワンぞう賞はいつ発表なのだ?


 猫た川賞が発表されたらもうあとはないだろう。


 北方ワンぞう賞自体なくなったのだろうな。


 コッコとナタリーには悪いがもう帰ろう。

 この場にいられただけで一生の思い出になった。


 もともと賞なんて柄ではないのだ。



 ……私がそう思ったその時だった。


 辺りが暗くなり、壇上にいる北方ワンぞう氏にスポットライトが当たった。


『レディースアンドニャントルメン! 本日のメーンイベント……北方ワンぞう賞の発表です!』


「……えっ!?」


『まずは惜しくも大賞を逃しましたが……『猫極ナツヒコ』先生!』


 あっけにとられている暇もなく私は驚かされた。

 猫極が……真っ赤なドレスを着て壇上で賞状を受け取っている……おまえ……メスだったのか!?


『いよいよ……いよいよ大賞の発表です! レッドカーペットを最後に歩くオスは……そう! 彼です! 『NWニャトソン』! 受賞作は……『ニャーロック・ニャームズのニャー冒険!』』


 私にスポットライトが当たった。

 盛大な歓声と拍手の嵐……


 私はボーゼンとしてしまった。


『さあ! はやく壇上へ!』


「あなた! ほら!」


 ナタリーにグイグイと猫背を押された。



……あ。



 二階からタキシードを着たニャームズが肉きゅうをポフポフと叩いているのに気がついた。


こないと言っていたくせに。






これで最終回でもいいかなと思いました。


だめか。

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