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ニャーロック・ニャームズのニャー冒険。  作者: NWニャトソン
今は、もう、いぬ。
133/203

ワンワンコア

真珠ワン戦争……犬の戦争


大ネッコン戦争……猫の戦争


ワンワンコア……猫の腹筋マシーン。


キャリードッグ……犬のキャリーバック

「これで……ふんっ!……三匹目……ふんっ!……か……」


 ケーブは倒れるだけで腹筋のワンワンコアでトレーニングしながらその報告を聞いた。


「どう考えてもおかしいですよ。今週だけで三匹の犬がひき殺されるなんて……もしかしたらワイルドキャッツの仕業じゃ……」


「落ち着けよ。猫がどうやったら車で犬をひける?」


「それは……」


 わかっていた。

 理屈や正論ではどうにもならない。

 このやるせない気持ちをワイルドキャッツへの怒りに転化させているのだ。

 猫たちと戦争するきっかけができてしまった。

 これはケーブがもっとも恐れていたことだった。


「やっちゃいましょうよ……ボス。みんなギラギラしてますよ。それともニャン公どもにビビってんすか?」


「少しだけ……もう少しだけ時間をくれ」


「ガッカリだな。ボスには。みんなも失望してるよ。俺だってね」


「……」



 ケーブは必要なものを取りに自宅に戻った。


(このままでは真珠ワン戦争になってしまう……)







「ど……どないなっとんや! どないなっとんねん!」 

(お……俺だってしるかよ!)


 鈴ニャン高校の屋上……タニーは慌てていた。


 この一週間で四匹の猫が車にひき殺された。

 その四匹の中にはハナとウエチも含まれていた。

 カンブは冷や汗をダラダラと流している。


(まさかあいつら……?)


 ワタリドリとの会話を思い出した。








(要するに……大暴れして戦争のきっかけをつくればいいんですね?)


(そうだ)


 戦争にさえなればワンコロどもに負けるはずはない。


(わかりましたよ旦那……ただし俺たちはそんじょそこらの生半可な悪じゃねぇ。やるからには徹底的にやらしてもらいますよ?)


(……構わん)








(俺のせい!? 俺のせいなのか!? あいつら! まさか猫まで殺すとは!)


 カンブの冷や汗は止まらない。

 ワタリドリとは一切接触は取れないし、タニーに報告したら自分は殺される。


「ワンコロどもや! ワンコロどもが裏で糸引いてんや! こないなったら……こないなったらワンコロどもと戦争じゃい! 全員道頓堀に沈めとんど! 兵隊を集めい! 兵隊を集めるんや!」


「は……はっ!」


(いよいよ始まるのか! 大ネッコン戦争が!?)


 カンブは兵隊を集めに町に出た。







「うん……うーん……」


(マサシ……)


 マサシは生まれつき病弱だった。

 よくこうして熱を出して寝込む。

 もう一週間になるだろうか?

 毎日病院に行っているのに……

 ケーブは必要なものをキャリードッグに詰め込んで窓から屋根にでた。

 すると……


「こんばんは」


「お前は? なぜここに?」


 ネコンボだった。


「いやぁ……なにやら大変なことになっているようで」


「今はお前の相手をしている場合じゃない」


「ケーブさん!」


「なんだ!? 忙しいんだ!」


「あなたを突き動かすものはなんです? それだけきかせてください」


 ケーブは迷いなくこう答えた。


「正義のためだ。猫も犬も鳥もそして……マサシが笑って平和に暮らせる町をつくるには正義が必要なんだ! そのためには俺はこのワン臓を捧げられる!」


 ケーブは肉きゅうを胸に添えた。


「ワン・ダフル! あなたはまさに正義の心を持ったドーサツになるべき犬だ!」


 もうこんな奴は相手にしていられない。

 ケーブはキャリードッグをガラゴロと転がしながら立ち去ろうと思ったがふと立ち止まった。


(どこに行ってなにをすればいい? クソッ!)


「どこに行ってなにをしていいのかがわからないなら私についてきませんか? 事故車のある場所を知っています」


「ワンだと!? なぜお前がそんなことを知っている!?」


「なあに全部うちのカミュさんからきいたことです」


(まさかこいつが……犯猫なんじゃ?)


 そう思いながらもいくあてもないケーブはネコンボについていくことにした。



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