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ニャーロック・ニャームズのニャー冒険。  作者: NWニャトソン
今は、もう、いぬ。
129/203

マットドックシックネス健在

ワン臓……犬の心臓。


一犬背負い投げ……犬の一本背負い投げ。



パワン……犬のパワー。


特犬……犬の特権

 人に歴史あり……と言うように我々動物たちにももちろん歴史はある。

 今回は『ニャーロックニャームズ』における名脇役『ケーブ』にスポットを当ててみるつもりだ。

 当のケーブ自体は日陰の花を好むので説得は困難だったがなんとか口説き落とせた。


『ドーサツの狂犬病マットドックシックネス』と呼ばれる彼の過去をお楽しみあれ。







『ワン臓を捧げよ!』


『ワン臓を捧げよ!』


 穏やかな春のある日、私とニャームズは自然公園で行われるドーサツの入察式に招かれていた。


 ドーサツのなかには鳥も猫もいるのだが、やはり犬が圧倒的に多い。

 さらに犬の中にもチワワやシェパードなどがいるなかで柴犬が多い。

 豆柴などはとても強そうには見えなかったが彼らはみな正義感溢れる目をしていた。


『え~……それでは皆さんは今日からドーサツの仲間となります。正義の心を常に忘れず……』


 壇上では元警察犬『警察の犬』こと『ショチョー』氏の挨拶が続いていた。

 横ではミニチュアシュナウザーのケーブがニコニコと笑っている。


 ニャームズから聞かされたがケーブは『狂犬病』と呼ばれドーサツ内ではかなり恐れられているようだが私にはとてもそうは見えない。

 いかにも『ワンちゃん』という印象だ。


「んなこたぁどうでもいいんだ! さっさとバッジをわたしやがれ!」


『むむぅ?』


「おう!? あの犬は……?」


「土佐犬だよニャトソン」


 巨大で凶暴な顔をした犬がショチョーに向かってズンズン歩いてきた。


「はやくバッジを寄越せってんだろ! オラァ!」


『アワワワワ……』


「……毎年ああいうのが一匹はいるんだ。ドーサツバッジを持っていれば箔がつくし特犬も与えられるしね」


「落ち着いている場合か!? ニャームズ! あんな乱暴犬がドーサツなんて名乗ったらドーサツの名に傷がつく!」


「そうさ。ドーサツは正義の集団でなくてはいけない。そのために彼がいる」


「何を……君闘えよ! アイツに勝てそうなのは君だけだ!」


「そうでもないさ。見ろよケーブを」


「ケーブ? ケーブに何ができ……」


 ケーブの動きは素早かった。


 土佐犬の懐に飛び込み彼の胴体にしがみついて腹に頭をグリグリと押し付けた。


「無理だ! ケーブ!」


 体格差がありすぎる……すぐに吹っ飛ばされて……しま?


「てめ……いてててて……この……ウプッ!」


 ミシ……ミシミシという音が聞こえてきた。

 ケーブがものすごい力で土佐犬の胴体を締め付けているのがわかった。


「オガガガガ……」


「貴様のようなオスにドーサツバッジはやれん!」


「オッ!?」


 ケーブは土佐犬をぶん投げた。

 なんというパワンだ!


「お見事! 久しぶりにみたよ! ケーブの一犬背負い投げ!」


 ニャームズはポフポフと肉きゅう拍手をした。

 ドーサツの新犬達も頼りがいある先輩に惜しみない賞賛の拍手を贈った。


「きゃ……キャイン! キャイーン!」


 情けない声をあげ、しっぽを丸めて逃げ出す土佐犬。


「おっ……おお……あれは本当にケーブか? 彼はあんなに強かったのか!?」


 立ち尽くすケーブの顔は阿修羅のようだ。


「彼がなぜ狂犬病と呼ばれるか……知りたくないかニャトソン?」


「おお。君は彼の過去を知っているのだな? ニャームズ」


「いやはや! つまらないものをみせてしまいましたなぁ! お怪我はありませんか? ショチョー。ニャームズさん。ニャトソンさんも申し訳ない!」


 ケーブの顔はいつものホッコリしたワンちゃんの顔に戻っていたので私はホッとした。





つづく。








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